プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)の状況について

平成14年6月12日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1.Aqua/AMSR-Eの経過

  • 5月4日 Aqua衛星打ち上げ


  • 5月15日以降、以下の異常事象が発生
    (1) テレメトリデータの乱れ(5月15日〜)と観測データの乱れ(5月25日〜)
    (2) SPSエラーフラッグの発生(5月15日〜)
    (3) テレメトリデータが更新されない(5月17日)
    (4) 観測データが“0"カウントになる(5月27、29日)
    (5) 観測モードコマンド送信後、テレメトリデータ及び観測データを伝送するのに時間を要した(約1〜5時間)(5月24、27、29日)
  • SPS:センサユニット信号処理部


2.Aqua/AMSR-Eの現状

【Aqua衛星】

  • Aqua衛星及びAMSR-E以外のセンサは機能確認中であり、正常に運用を継続している。

【AMSR-E】

  • 5月30日以降、観測を継続しており、地球観測センター(埼玉県鳩山町)において観測データをNASAから受信し、処理している。
  • 当初、数時間に一度の頻度でテレメトリ及び観測データの乱れ(一日あたりの受信データの約5%)が発生していたが、その後0.1〜0.2%程度に減少しており、現在ではほとんど乱れのない全球の観測データを取得している。

AMSR-Eの初画像(6月2日〜4日観測)

海面水温画像
2002年6月2日〜4日(世界時)



3.異常事象の原因究明状況


  • 原因究明体制

  • 原因究明チームを設置し、異常事象の原因究明を実施中。

  • リーダ長 古濱理事

  • メンバー 各衛星プロジェクト及び技術研究本部の専門家

  • 外部専門家 宇宙科学研究所及び通信総合研究所の専門家

  • 衛星本体との関連については、NASAの協力を得て検討を進めている。

  • 推定原因

  • 異常事象(1)〜(3)については何らかのノイズによる誤動作と考えられることから、疑似回路及びAMSRのエンジニアリングモデルを使用して、疑似ノイズによる異常事象の再現性確認及びノイズの発生源とその原因特定のための検証試験を実施している。 その中で、疑似ノイズによる異常事象の再現(事象(1)及び(2)関連)を確認した。現在、ノイズの発生源について特定を進めている。

  • 事象(4)については、ノイズに起因して内部処理の異常が連続して発生したためにSPSが待機モードに移行したものであると推定している。

  • 事象(5)については、観測モード移行コマンドを受けて、観測モードに移行するためのソフトウエア上の条件設定に起因するものと推定している。