プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

私達の地球になにが起こっているのか?
-地球フロンティア研究システム・地球観測フロンティア研究システム合同研究成果発表シンポジウム2002-
開催の御案内

平成14年3月6日

宇宙開発事業団

 地球フロンティア研究システム(宇宙開発事業団と海洋科学技術センターの共同プロジェクト)と地球観測フロンティア研究システム(海洋科学技術センターのプロジェクト)は、両システムの研究成果を広く皆様に身近なものとしてとらえていただこうと考え、一般の方を対象とした上記シンポジウムを標記の日程で開催いたします。(資料1)

 環境問題が日々深刻化する今、私たちの次の世代へ美しい地球を残すためにも、地球規模の変動をもたらす自然現象の解明は不可欠です。このような背景下、国家プロジェクトとして発足された地球フロンティア研究システム、地球観測フロンティア研究システムでは、「地球変動予測の実現に向けて」を目標に、自然科学のプロセス研究、観測研究を通して、様々な現象の発見、モデル研究と観測結果の一致など、最先端の技術を駆使し、多様な側面から自然現象の解明につとめて参りました。

 今回は、気候変動予測と社会への応用研究で知られるアメリカの研究所、International Research Institute for Climate Predictionの国際関係・開発部門のレントン博士による基調講演、および、両システムが密接な連携を取りながら活動を進めている地球シミュレーター研究開発センターから、運用開始を3月に控えた世界最大のスーパーコンピュータについての特別報告を行います。また、招待講演には、海洋生物学者・コラムニストであり三宅島ネイチャーセンターの顧問として知られているジャックT.モイヤー博士をお招きし、私たちの地球に何が起こっているのか、そして、私たちにできることは何かを海の環境問題と環境教育に焦点をあて、皆様にわかりやすくお話ししていただく予定です。(資料2)

1.開催日 平成14年3月19日(火)・20日(水)
2.開催場所 コクヨホール
東京都港区港南1-8-35(JR/京急品川駅港南口徒歩1分)
3.同時通訳付き・入場無料
4.お申し込み・お問合せ フロンティア事務局代行(社)資源協会地球科学技術推進機構 http://www.jamstec.go.jp/frsgc/jp/sympo/2002/seika/ Tel:045-778-5587 Fax:045-778-2293
E-mail:seika_igcr@jamstec.go.jp
5.主催 地球フロンティア研究システム(宇宙開発事業団・海洋科学技術センター)
地球観測フロンティア研究システム(海洋科学技術センター)
6.後援 文部科学省



アジェンダ

3月19日(火)

9:00 開場
9:30 主催者開催挨拶
来賓挨拶
9:40 「観測によって見えてくる地球のすがた」
堀田宏 (地球観測フロンティア研究システム長)
「地球環境変化の予測モデル開発に向けて」
松野太郎(地球フロンティア研究システム長)
11:00 特別報告「「地球シミュレータ」いよいよ運転開始」
佐藤哲也(地球シュミレータセンター長)
11:30 基調講演 「気候科学の社会への還元を目指して - グローバル・パートナーシップの確立- 」
ロベルト・レントン 博士(米国IRI国際関係・開発部門エグゼクティブ・ディレクター)
12:00 昼食
13:00 「海のコンベアベルトは止まるか?」
松野太郎(モデル統合化領域長)
「地球を三角に切る」
富田浩文 (モデル統合化領域研究員)
14:05 「気候が変わると生態系はどう変わる?」
安岡善文(生態系予測研究領域長)
「植物と土壌は地球の炭素循環の中でどのような役割を果たしているか」
伊藤昭彦(生態系予測研究領域研究員)
15:10 ポスターセッション・休憩
15:25 「大陸を越える長距離越境大気汚染」
秋元肇(大気組成変動予測研究領域長)
「コンブと大気成分の意外な関係」
金谷有剛(大気組成変動予測研究領域研究員)
「アジア大陸から飛来する黄砂が酸性雨分布に影響」
王自発(大気組成変動予測研究領域研究員)
16:30 「温暖化予測におけるプランクトンの役割:最新IPCC報告書に載った我々の結果」
山中康裕(地球温暖化研究領域 グループリーダー)
「雲は温暖化を強めるのか?弱めるのか? - 宙(そら)から雲の変動を丸ごとつかむ-」
對馬洋子(地球温暖化研究領域研究員)
17:35 「最近40年に北極海の氷はなぜ溶けているのか」
池田元美(国際北極圏研究センタープログラムディレクター)
「ベーリング海の環境変化を語るプランクトン」
Shin Kyun-hoon(国際北極圏研究センター研究員)
「氷の下の海はどうなっているの?」
David Walsh(国際北極圏研究センター研究員)
18:45 レセプション


3月20日(水)

9:30 開場
10:00 「シベリアの森林伐採は気候を変える?」
大畑哲夫(水循環観測研究領域グループリーダー)
「赤道大気を駆動する熱エンジン-インドネシアの雲と雨-」
森修一(水循環観測研究領域研究員)
「豪雨の種」
耿驃(水循環観測研究領域サブグループリーダー)
11:05 「梅雨前線のつくり方」
木村富士男(水循環予測研究領域グループリーダー)
「タイの常緑林は乾季でも乾いていない」
田中克典(水循環予測研究領域研究員)
12:10 昼食
13:10 「海洋観測で解る気候変動のメカニズム」  竹内謙介(気候変動観測研究領域長) 「渦によって変わる黒潮の道すじ」
市川洋(気候変動観測研究領域グループリーダー)
「パラオの天気とエルニーニョ」
城岡竜一(気候変動観測研究領域サブグループリーダー)
14:15 「海の天気予報」
山形俊男(気候変動予測研究領域長)
「北太平洋から北大西洋への大気の架け橋」
本田明治、中村尚(気候変動予測研究領域研究員、グループリーダー)
「インドネシア通過流が気候変動に果たす役割:太平洋とインド洋を結ぶ流れの変動」
升本順夫(気候変動予測研究領域サブグループリーダー)
15:20 「海の中の狭き通り道」
三寺史夫(国際太平洋研究センターグループリーダー)
「太平洋赤道域の水温変化は何によっておきるのか」
野中正見(国際太平洋研究センター研究員)
16:25 ポスターセッション・休憩
16:40 招待講演「海の環境問題と教育」
ジャック・T・モイヤー博士
(海洋生物学者・コラムニスト、三宅島村立自然教育施設「アカコッコ館」顧問)
17:50 閉会挨拶
17:55 閉会





ポスターセッション

3月19日(火)15:10 - 15:25、3月20日(水)16:25 - 16:40
「Argoフロートを理想的に分布させるために -数値モデルを用いた研究-」 
岡英太郎(気候変動観測研究領域研究員)
「インド洋ダイポールモード現象は予測できるか?」
Anguluri Suruyachandra Rao (気候変動予測研究領域研究員)
「雪の複雑な形が雪の成長を早くする?」   
円山憲一(水循環変動予測研究領域研究員)
「シベリアの気候」     
矢吹裕伯(水循環変動観測研究領域 サブグループリーダー)
「海洋に吸収されるフロンの行方」     
笹井義一(地球温暖化予測研究領域研究員)
「家畜から排出されるメタンガス」    
山地 一代、大原 利眞、秋元 肇(大気組成変動予測研究領域研究員、領域長)
「気候変動は海洋生態系を変えたか?」
田所和明・小埜恒夫・千葉早苗(生態系変動予測研究領域 研究員)
「地球温暖化予測 -これまでとこれから-」   
江守正多(モデル統合化領域研究員)
「黒潮沿岸水の動きを追う -カオス理論の応用-」
早稲田卓爾(国際太平洋研究センター研究員)
「IARCでの北極圏気候科学のハイライト」
Roger Colony他(国際北極圏研究センター グループリーダー他)
「森林火災は温室効果ガスの発生・吸収にどのような影響を及ぼすのか」
Kim Yongwon (国際北極圏研究センター研究員)


基調講演者・招待講演者プロフィール

基調講演

ロベルト・レントン(Roberto Lenton)博士
米国IRI(International Research Institute for Climate Prediction)国際関係・開発部門のエグゼクティブ・ディレクター。
気候変動の影響を受けやすい発展途上国において社会への気候科学の応用を推進するべく、各国研究所の国際協力ネットワーク作りに活躍。
水資源管理において国際的な知名度を持つ科学者として、過去に、国連開発計画の持続可能なエネルギーと環境部門のディレクター等を歴任。
1974年、米国マサチューセッツ工科大学から水資源システムにおいて博士号を取得。
アルゼンチン出身。

招待講演

ジャック T. モイヤー(Jack T. Moyer)博士
海洋生物学者、コラムニスト
1929年アメリカ合衆国カンザス州生まれ。1952年ニューヨーク・コルゲート大学卒業(生物学・東洋学専攻)、その後、ミシガン大学修士課程修了(魚類学専攻)。1984年東京大学博士課程修了(サンゴ礁に棲む魚の繁殖生態に関する研究)。三宅島村立の自然教育施設「アカコッコ館」顧問、テレビ番組のアドバイザーとしても活躍。現在、都内の都営アパートにて避難生活をしつつ、三宅島の復興に尽力を尽くしている。
Foundation for Environmental Conservationにより、地球環境保護に貢献する世界の学者・専門家1300人のうちの一人に選ばれ、"World Who is Who an Does What in Environment and Conservation"(1997), "Who's who in the World"(1999)にもその名が記載された。
IUCN(国際自然保護連合)・種の保存委員会における生物多様性保全の為の特別委員、フィリピンネグロス島バイス市環境顧問、鳥羽水族館科学顧問、JR東日本・AQUAのエコツアー顧問、アメリカンスクール・イン・ジャパン野外教育顧問、東京都観光事業審議会委員(1998年〜2000年)等を歴任。