宇宙開発事業団
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
1. | 固定通信ミッション(情報格差是正、災害情報、インターネット網補完、教育等) |
2. | 移動体通信ミッション(ITS、治安維持活動、交通機関への安全情報伝送等) |
3. | 測位ミッション(高精度測位、交通・物流の安全・効率化) |
(1) | 地球環境観測
|
||||||
(2) | 災害監視・資源探査
|
(1) 国民生活の質の向上に貢献することを目標に、通信・放送と測位利用を複合し、以下のような社会システム構築に必要な技術開発を推進するとともに、民間の早期事業展開を促進する。
- | 全国一律のブロードバンド環境の実現・デジタルデバイド解消(e-Japan戦略) |
- | 災害の発生を速やかに通知、被災状況の詳細な把握に役立つ国土管理・災害監視情報ネットワークの構築 |
- | 学校、生涯教育ネットワークの構築 |
- | アジア太平洋地域の広域高速ネットワークの構築 |
- | 社会安全・治安維持活動の支援 |
- | 移動体通信と高精度測位の活用によるITS利用範囲の拡大と高度化 など |
(2) 今後の10年以内に達成すべき主要な技術達成目標は以下の通り
固定通信: | |
インターネット網補完(600Mbps〜1Gbps) 各家庭へのアクセス回線用 小型アンテナで100Mbps |
|
移動体通信: | |
下り回線で数Mbps(高画質な動画像伝送を実現) | |
測位: | |
GPSの補強・補完による全国どこでも高精度測位の実現 (衛星からの補正データ伝送、あるいは日本独自のローカル測位システム等) |
衛星のメリットである広域性、同報性、耐災害性を活かせる分野を優先とし、国として取り組むべき情報格差是正、災害、教育ネットワーク構築のための技術開発を最優先事項とする。 | |||||||
開発リスクが高く、開発に時間を要する先端的・基盤的通信技術等に関して宇宙での実証を行い、民間の早期事業展開を促進する。 | |||||||
先端技術の要素技術実証と、利用形態でのシステム実証を適宜組み合わせ、開発リスクを踏まえた段階的な技術開発を行うこととし、必要に応じて小型衛星等の活用をはかる。 | |||||||
開発した衛星、民間商用衛星を利用した実験を通じ、広く新しいユーザ、需要の開拓を行い、宇宙利用の拡大をはかる。実用化への確実な橋渡しを念頭におき、責任とリスク分担可能なユーザとの協力・分担を優先する。 | |||||||
既開発済みのプロジェクト(DRTS、OICETS)については確実にそのミッションを達成するとともに、以下のプロジェクトを推進する。 (1) 先端的衛星通信技術の開発実証
|
準天頂衛星システムの開発については、新たなビジネス機会の創出による経済活性化と国民生活の質の向上を目指すプロジェクトとして、産業界より強い要望がある。 | |||||||||
NASDAは、民間主導で進められる本プロジェクトの開発整備に必要な技術開発要素のうち先端的でリスクが高い要素の技術開発について、積極的な協力支援を行いたい。 | |||||||||
現時点では、対象ユーザもそのミッション要求も固まっておらず、システムのコンフィギュレーションが決まっていないと認識している。以下の明確化が必要である。
|
OICETS | DRTS | ETS-VIII | WINDS | 準天頂※ | |
---|---|---|---|---|---|
新軌道の開拓(低周回軌道コンステレーション, 準天頂軌道等) | ○ 準天頂 |
||||
新アンテナ技術(マルチビーム、フェーズドアレイ) | ○ S帯APAA/BFN S帯大型アンテナ |
○ Ka帯APAA Ka帯マルチビーム Ka帯マルチポートアンプ |
○ 高鏡面精度展開アンテナ(Ka帯)※ |
||
新周波数帯域の開拓(光通信など) | ○ 光 |
Ka/S | S | Ka | S〜Ka※ |
高度な搭載通信機器技術 | ○ パケット交換機 |
○ オンボードATM交換機 |
|||
高度衛星間通信技術 | ○ 光通信 |
○ Ka/S |
|||
通信ネットワーク技術 | ○ 固定通信 IPv6 同報通信 |
○ 移動体通信 移動体通信用プロトコル |
|||
搭載用原子時計等衛星測位技術 | ○ | ○ | |||
高度地球局技術 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
大型衛星バス技術 | ○ |
※ | 準天頂衛星システムについては、民間提案も含め複数の検討が行われており、今後ミッション要求をまとめ、開発要素の抽出を行う必要がある。 現時点ではシステムコンフィギュレーション未確定 |