プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

H-IIAロケット3号機打上げ整備作業状況(その2)
(平成14年8月21日〜平成14年8月27日)

平成14年8月28日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1.報告事項

H-IIAロケット3号機の打上げ整備作業状況について報告する。

2.打上げ整備作業全体スケジュール

全体スケジュールを図-1に示す。
極低温点検については、天候の悪化による発雷が予想されたことから、当初予定の平成14年8月24日から8月26日に変更した。尚、これによる打上げ日への変更はない。

3.主要作業実績(8月21日〜8月27日)

(1) 極低温点検
8月23日に機体移動を実施したが、その後、翌24日に発雷が予想されたため、機体を一時VABに戻した。これにより極低温点検を26日に変更した。
8月26日にターミナルカウントダウンを3回実施し、所定のシーケンスを確認した。 クイックレビュー結果を表-1に示す。
現在、極低温点検後の処置等を実施中である。
(2) 衛星フェアリング
DRTS及びUSERS宇宙機を搭載済み
作業用ドア類のシーリング、フェアリング分離用火工品の取付を実施中。
(3) DRTS
フェアリング内に搭載済み(8月20日)
衛星モニタ及びバッテリ補充電を引き続き実施中
(4) USERS宇宙機
フェアリング内に搭載済み(8月23日)
バッテリ補充電を引き続き実施中

4.今週,来週の主要作業予定

(1) 極低温点検後の点検、最終機能点検
(2) 衛星/フェアリング結合後の作業用ドア類のシーリング、フェアリング分離用火工品の取付を引き続き実施。
(3) 衛星フェアリング(DRTS/USERS搭載済み)の機体への結合
(4) DRTS及びUSERSについては、衛星モニタ及びバッテリ補充電等を引き続き実施するとともに、衛星システム点検を実施

H-IIAロケット3号機 極低温点検 クイックレビュー結果について

No項  目確認項目確認結果
1 推進薬充填状態での機体・設備健全性確認 以下の主要機能・データに異常が無いことを確認する。
(1) 自動充填機能

(2) 常温・極低温ヘリウム気蓄器高圧漏洩点検

(3) 極低温下でのバルブ作動確認

(4) 自動カウントダウンシーケンス
(第1段エンジン点火相当秒時までのシーケンスおよび自動緊急停止項目の確認)

以下の主要機能・データが良好であり、極低温点検の目的が達成できたと判断する。

(1) 自動充填機能 良好に充填できることを確認。

(2) 常温・極低温ヘリウム気蓄器高圧漏洩点検

気蓄器の圧力降下データが規定値以下であることを確認。

(3) 極低温下でのバルブ作動確認

バルブ作動良好。

(4) 自動カウントダウンシーケンス 自動カウントダウンシーケンスが正常に進み、計画通り第1段エンジン点火直前で緊急停止した。




(特記事項)
(1) 第1段酸素系の設備予冷に時間を要した為、X時刻を10:30から13:00に変更した

(2) 自動カウントダウンシーケンス1回目、X-47秒において、1段推進系ポゴ抑制装置の液位確認用の温度センサデータが判定値を外れた為緊急停止した。原因は上下2カ所の温度センサ信号が逆転していた可能性が高いこと及び当該データは取得できたことから、このセンサ信号を判定項目より外し、再度自動カウントダウンを実施した。(特記事項 その1)

(3) 自動カウントダウンシーケンス2回目、X-25秒において、機体内のヒータをOFFとする処理において、緊急停止した。電気系設備内の判定部分に原因があると推定されるため判定条件を無効として再度自動カウントダウンを実施した。(特記事項 その2)

(4) 自動カウントダウンシーケンス3回目、第1段エンジン点火相当秒時までのシーケンスが正常に進むことを確認した。


尚、上記問題点については、試験後に必要な処置を実施し打上げに望む予定。
2 射場系との電波リンク確認 テレメータ、レーダ、コマンドの電波リンク確認
(中之山局から宇宙ヶ丘局への移設に伴う確認)
機体と射場系との電波リンク良好であることを確認。




極低温点検の特記事項(その1)


  LE-7Aエンジン 系統図

【現象】
8月26日13時のX時刻に向けたターミナルカウントダウンにおいて、X-47秒で1段推進系ポゴ抑制装置(PSD)の液位を検知する温度センサ(上部、下部の2点)の指示値が設定値を超えたため緊急停止した。

【原因】
詳細については調査中であるが、データの状況から2つのセンサの信号が逆転していた可能性が考えられる。

【その後の対応】
当該データは取得されたため、緊急停止項目から外した上で再度本日の極低温点検を実施した。



極低温点検の特記事項(その2)

【現象】
8月26日17時のX時刻に向けたターミナルカウントダウンにおいて、X-25秒で機体内のヒータ(4本のSSB、2段アンテナ)をOFFとする処理において「全てOFF」との判定条件が整わなかったため緊急停止した。


【原因】
詳細については調査中であるが、機体内のヒータが個別にはOFFとなっているため、電気系設備内の判定部分に原因があると推定。


【その後の対応】
設備の問題であることから、F-0後に本現象のメカニズム究明を行うこととし、判定条件を無効として再度本日の極低温点検を実施した。



打上げ整備作業状況集


8月21日 DRTSフェアリング搭載

8月21日 DRTSフェアリング搭載

8月22日 DRTS下部フェアリング収納



8月23日 USERS/衛星分離部結合

8月23日 USERSフェアリング搭載

8月25日 USERS上部フェアリング収納

射場作業状況


機体移動(8月25日)

移動発射台(8月25日)



指令管制室(8月26日)

燃料充填済みの機体 (8月26日)



打上げ整備作業全体スケジュール

平成14年8月27日作成