プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

H-IIAロケット試験機2号機打上げ整備作業状況について
(平成13年12月15日〜平成14年1月8日)

平成14年1月9日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 報告事項

 H-IIAロケット試験機2号機の打上げ整備作業状況について報告する。

2. 打上げ整備作業全体スケジュール

 全体スケジュールを図-1に示す。12月15日から開始した打上げ整備作業はこれまでのところ順調に進行している。

3. 主要作業実績(12月15日〜1月8日)

(1) 機体輸送
1/2段機体については12月13日に名古屋港から搬出。島間港への接岸については強風により1日延期し12月16日午前に接岸、同日水切りを行った。 翌日午前1時〜午前7時にかけて島内を輸送し大型ロケット組立棟(VAB)に搬入した。機体輸送による遅れについては、その後のスケジュール調整により現在遅延は発生していない。

(2) 機体結合・射座据付
第1段機体起立・射座据付(12月17日)、1/2段結合(12月18日)、補助エンジントラス取り付け(12月18日)、SRB-A結合(12月19日〜20日)、SSB結合(12月22日〜24日)、機体支持機構取付(12月26日)をそれぞれ実施。

(3) 射座据付後機体点検、火工品取付
電気系点検(12月27日〜1月10日)(テレメータ点検、姿勢制御系点検、GPSR点検、電池点検、フライトシミュレーション他)
1/2段推進系点検(12月27日〜1月10日) (タンク・配管類の漏洩点検、残留水分点検、油圧系点検他)
火工品取付(12月27日〜1月20日) (火工品・導爆線取付、カバー類の艤装他)

(4) 衛星フェアリング点検
22日に島間港接岸、23日早朝に島内輸送し衛星フェアリング組立棟(SFA)に搬入した。その後、外観点検、分離機構点検、火工品回路点検及びCCDカメラ取付、点検等を実施。

(5) MDS-1
11月18日種子島に搬入、その後衛星の機能確認試験、電波系リンク確認、推進薬充填、火工品取付、バッテリの活性化(充放電)等の作業を実施。現在、バッテリの補充電及び衛星モニタ(推進薬タンク圧力、温度等のモニタ)及びロケットとの結合作業中

(6) DASH
12月13日種子島に搬入、その後ガスジェット充填、カプセル及びオービタの組立・動作確認を実施。固体モータ類の取付等を行い最終点検を実施後、12月21日より衛星フェアリング組立棟(SFA)にて保管中。

4. 今週,来週の主要作業予定

(1)1/2段推進系及び電気系の点検、火工品の取り付けを引き続き実施。
(2)1月9日より極低温点検前準備作業を実施。1月15日に極低温点検を実施予定。
(3)MDS-1について補充電、衛星モニタを引き続き実施。本日、衛星分離部と結合予定。
(4)DASHについては、引き続き保管後、1月12日にロケット側と結合予定。

その他

(1) 再々着火予備実験について
 第2段エンジンのより確実な着火を行うため、第3回燃焼開始前にアイドルモード燃焼20秒を追加。それに伴い、第2段の燃焼秒時を見直した。
 事     象打上げ後経過時間距離高度慣性速度
第2段エンジン第3回燃焼開始
第2段エンジン第3回燃焼停止
1時間40分0秒 18505 15685 4.5
1時間40分51秒 18480 15848 4.6
第2段エンジン第3回燃焼開始
第2段エンジン第3回燃焼停止
1時間40分20秒 18495 15748 4.4
1時間40分56秒 18478 15858 4.3
(2) 種子島宇宙センターにて1月14,15日に機体及び極低温点検を報道関係者に公開予定。
(3) 試験機2号機の打上げの様子は、宇宙開発事業団本社、各事業所及び日本科学未来館、他多地点にて放映。またインターネットからもライブ中継を実施する。
(4) 試験機1号機にて打上げられたレーザ測距装置(LRE)についてコートダジュール天文台グラース月レーザ測距局(フランス)が、日本時間12月18日午前6時50分から午後1時20分に掛けて、レーザ測距に成功した。
(5) 12月26日に種子島南端の門倉岬に試験機1号機のフェアリングの一部(2片)が漂着していることが確認され回収した。



射場整備作業中の主な不具合について(12月15日以降分)

事象原因対処
SSBとコア機体の結合作業(12月27日)において、SSBの艤装品の一部(各SSBの後方分離部の左右の保護カバー及び分離コネクタの保護カバー)が取付けられなかった。 保護カバーと本体に機械的な干渉があったため。 1箇所を除き、追加工等の処置済み(12月28日処置完了)。 残り1箇所については、極低温点検前までに処置を完了予定。
LE-7Aの点火器スパークプラグ作動点検(1月4日)において、規定(10秒以下)よりも長い時間作動させた。
作動時間:
メイン用 約28秒
プリバーナ用 約48秒
作動点検時に使用する点検装置の接続不良のため。 スパークプラグの作動点検を実施し、健全であることを確認した。(1月6日処置済み)
電気系点検(1月4日)において、フェアリング用機体コネクタの端で短絡が発生した。 コネクタに点検用のジャンパ線を接続する際に、電源供給ライン(28V)に触れたため。 万全を期して、影響があった可能性のある機器(第2段データ収集装置)を交換した。(1月6日処置済み)



H-IIAロケット試験機2号機打上げ整備作業全体スケジュール (PDF144K)




打上げ整備作業状況




第1段射座据付(12/17)

1/2段機体結合(12/18)

姿勢制御用補助エンジントラス結合(12/18)

SRB-A結合(12/19)

SRBノーズコーン取付(12/21)

SSB(No.3)取付(12/22)

SSB(No.2取付(12/24)

機体支持機構取り付け(12/26)

SRB-A後方ブレスカバー取付(01/06)

フライトシミュレーション(01/07)

フェアリング島内輸送(12/23)

下部フェアリング吊上げ・設置(01/06)

CCDカメラ点検(01/06)