
このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました
H-IIAロケット試験機2号機の打上げ結果について(速報)
平成14年2月6日
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
試験機2号機の飛行試験の目的及び結果概要
【目的】
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固体補助ロケット(SSB)4本付きの標準型のH-IIAロケットにより、静止トランスファ軌道への飛行実証を行い、その機能・性能を実証するためのデータを取得する。 |
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民生部品・コンポーネント実証衛星(MDS-1)及び高速再突入実験機(DASH)を所定の軌道に投入する。 |
【結果概要】
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平成14年2月4日(月)11時45分00秒(日本標準時)に種子島宇宙センター大崎吉信射点(LP1)からH-IIAロケット試験機2号機(H-IIA・F2)を発射方位角96度で打ち上げた。 |
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その後、予定された飛行経路を順調に飛行し、第2段ロケットは静止トランスファ軌道に投入された。リフトオフから46分51秒後に民生部品・コンポーネント実証衛星(MDS-1)を分離したことを確認した。 |
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固体補助ロケット及び改良されたLE-7Aエンジンを初めとする、ロケット飛行中の技術データを取得した。さらに第2段再々着火予備試験も良好にデータ取得した。 |
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打上げ約30分後に予定されていた「高速再突入実験機(DASH)」について分離信号が確認されなかった。 |
試験機2号機打上げシーケンス
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イベント | 計画値 | 予測値 | フライト結果 |
リフトオフ |
固体補助ロケット第1ペア点火 |
固体補助ロケット第2ペア点火 |
固体ロケットブースタ分離 |
固体補助ロケット第1ペア分離 |
固体補助ロケット第2ペア分離 |
上部衛星フェアリング分離 |
第1段主エンジン燃焼停止 |
第1段・第2段分離 |
第2段エンジン第1回燃焼開始 |
第2段エンジン第1回燃焼停止 |
第2段エンジン第2回燃焼開始 |
第2段エンジン第2回燃焼停止 |
DASH分離 |
下部衛星フェアリング(アダプタ部)分離 |
MDS-1分離 |
第2段エンジン第3回燃焼開始 |
第2段エンジン第3回燃焼停止 |
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時 |
分 |
秒 |
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10 |
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1 |
16 |
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1 |
50 |
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1 |
51 |
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2 |
24 |
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4 |
5 |
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6 |
30 |
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6 |
38 |
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6 |
44 |
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12 |
19 |
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24 |
36 |
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27 |
28 |
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30 |
18 |
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40 |
55 |
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46 |
40 |
1 |
40 |
20 |
1 |
40 |
56 |
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時 |
分 |
秒 |
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10 |
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1 |
16 |
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1 |
53 |
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1 |
54 |
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2 |
24 |
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4 |
3 |
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6 |
29 |
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6 |
37 |
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6 |
43 |
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12 |
21 |
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24 |
36 |
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27 |
30 |
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30 |
20 |
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40 |
57 |
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46 |
42 |
1 |
40 |
22 |
1 |
41 |
3 |
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時 |
分 |
秒 |
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10 |
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1 |
16 |
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1 |
53 |
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1 |
54 |
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2 |
24 |
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4 |
14 |
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6 |
39 |
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6 |
47 |
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6 |
53 |
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12 |
34 |
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24 |
45 |
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27 |
39 |
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41 |
6 |
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46 |
51 |
1 |
40 |
31 |
1 |
41 |
3 |
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(注) |
小数点以下を四捨五入し、分秒で表示 |
(注) |
計画値: |
機体の質量・推進性能のノミナル値を使用した飛行経路に基づく |
予測値: |
機体の質量・推進性能に領収試験結果(タグ値)等を使用した飛行経路に基づく |
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軌道投入精度
(MDS-1分離時)
| 計画値 | フライト結果
(衛星決定値) | 差(σ) |
遠地点高度(km) |
35735 |
35696 |
-39(-0.93) |
近地点高度(km) |
500 |
500 |
0( 0.19) |
軌道傾斜角(度) |
28.50 |
28.50 |
0.00( 0.33) |
(注) |
衛星決定値:MDS-1の追跡データにより決定された軌道
σ値については、表示桁数以下のデータも考慮した値 |
飛行経路
カウントダウン作業の状況
2月3日 23時00分 |
機体移動 |
2月4日 3時00分 |
ターミナルカウントダウン |
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● 推進薬およびヘリウム気蓄器への充填 |
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● 機体位置・姿勢自動初期設定 |
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● 電波系統点検(ロケット/地上設備組合せ点検) |
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● 姿勢制御系作動点検 |
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● 風観測データに基づく飛行プログラムの更新(その1) |
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● 人員配備確認 |
2月4日 9時00分 |
サンチャゴ局一部受信不良 |
X-60分 |
X-60分ターミナルカウントダウン |
2月4日 10時38分 |
海上警戒区域へ船舶が侵入したため、
X時刻を11時28分から11時45分に変更 |
X-60分 |
再X-60分ターミナルカウントダウン |
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● 風観測データに基づく飛行プログラムの更新(その2) |
X-10分 |
X-10分ターミナルカウントダウン |
X-480秒 |
● 秒読み開始 |
X-400秒 |
● 自動カウントダウン開始可ON(各系) |
X-280秒 |
● 自動カウントダウン開始可ON(指揮者) |
X-270秒 |
● 自動カウントダウン開始 |
X-260秒 |
● タンク加圧開始(各タンク順次開始) |
X-180秒 |
● 設備電源から機体搭載電池へ切り換え |
X- 80秒 |
● 発射台下部の水素ガス処理用トーチ点火・煙道注水 |
X- 30秒 |
● セーフアーム(火工品誤動作防止)装置作動 |
X- 18秒 |
● 誘導制御系飛行モードへ切り換え |
X- 15秒 |
● SRB-A駆動用電池起動(X-6秒に作動確認) |
X-11.7秒 |
● エンジンからの水素ガス処理用トーチ点火 |
X- 4.7秒 |
● LE-7Aエンジン着火 |
X- 0秒 |
● SRB-A点火(リフトオフ条件確認後) |
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2月4日 11時45分 |
リフトオフ |
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● 特記事項
(1)サンチャゴダウンレンジ局一部受信不良
【状況】
サンチャゴ局において、技術テレメータが断続的に約0.26秒間受信が出来ない不具合が発生した。尚、基本テレメータ及びGPSデータは良好に受信できた。
【対処】
サンチャゴ局はリフトオフ後約2000秒以降から追跡をおこなうことから、技術テレメータはほぼデータを取得し終えており、基本テレメータにより代替えを行うことで影響ないと判断し、作業を続行した。
【処置】
その後、打上げまでに不具合部品を予備品と交換したこと等により、良好に受信できた。
(2)海上警戒区域への船舶侵入
【状況】
X-60分頃、海上警戒区域付近に船舶を確認。
航行経路から打上げ時刻には海上警戒区域外まで移動するものと予想されたが、万全を期して打上げ時刻を11時28分から11時45分に変更した。
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今後の予定
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試験機2号機の飛行結果について詳細評価を実施する。 |
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高速再突入実験機(DASH)未分離については、2月4日(月)に宇宙科学研究所内に設置された「高速再突入実験(DASH)調査特別委員会」に参加し、原因究明に努める。 |
関連資料:
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