プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

ADEOS-II/H-IIA・F4の打上げ計画について
(小型副衛星: FedSat, WEOS, μ-LabSat )

平成14年10月2日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

ADEOS-II/H-IIA・F4の目的

  • H-IIAロケットにより、環境観測技術衛星(ADEOS-II)を打上げる。


  • H-IIAロケットの打上げ能力の余剰を活用して、以下の小型副衛星をADEOS-IIと同等の軌道に打上げる。
豪州小型衛星(FedSat) 豪州が開発。豪州連邦科学産業研究機構との打上げ及び利用協力による。
鯨生態観測衛星(WEOS) 千葉工業大学が開発。公募により選定
マイクロラブサット1号(μ-LabSat) 宇宙開発事業団が開発


ADEOS-II投入軌道
軌道長半径(km)
[高度(km)]
7190
[812]
離心率 0.0
軌道傾斜角 98.67


ADEOS-II/H-IIA・F4の準備状況

概要


ADEOS-IIの概要

■環境観測技術衛星(ADEOS-II)
 ADEOS-IIは、地球観測プラットフォーム技術衛星(ADEOS)の観測ミッションを継承し、地球温暖化等のグローバルな環境変動のメカニズムの把握や、気象や漁業等の実利用の面への貢献を図るとともに、観測技術の開発・高度化を目的とした地球観測衛星である。
(ADEOS-IIはAdvanced Earth Observing Satellite-IIの略)


■ADEOS-IIの科学目的
  • 気候システムにおける水・エネルギー循環の定量的把握
  • 地球温暖化問題に関連する炭素循環に係わるバイオマス量と海洋基礎生産量の定量的把握
  • ADEOS観測の継続による長期的な気候変動シグナルの検出


■ADEOS-II 主要諸元
*クリックすると拡大画像をご覧になれます。
ADEOS-II
寸法 本体 約6×4×4m
太陽電池パドル 約3×24m
質量 打上げ時 約3,700kg
寿命 3年
軌道 太陽同期準回帰軌道 98.62度



■ミッション機器の概要
宇宙開発事業団が開発した高性能マイクロ波放射計(AMSR)とグローバルイメージャ(GLI)の2つのコアセンサに加えて、環境省、NASAジェット推進研究所(JPL)及びフランス国立宇宙研究センター(CNES)から提供されるセンサにより、水・エネルギー循環過程、炭素循環の解明に必要なデータを取得する。

高性能マイクロ波放射計(AMSR)
 地表及び大気から自然に放射される微弱なマイクロ波帯の電波をマルチバンドで受信することにより、水に関するさまざまな物理量(水蒸気量、降水量、海面水温、海上風速、海氷密接度など)の観測を行い、主として全地球の水、エネルギー循環を把握するためのデータ取得を目的とするセンサ。
グローバル・イメージャ(GLI)
 陸、海といった地球表面あるいは雲等からの太陽反射光や赤外放射光を多くの波長で観測することで、生物に関する様々な物理量(クロロフィル色素、有機物、植生など)や、温度、雪氷、雲の分布・特性などを高精度に観測し、主として全地球規模の炭素循環や、気候変動を把握するためのデータ取得を目的とするセンサ。

他機関センサ概要
センサ 開発機関 観測対象
改良型大気周縁赤外分光計II型(ILAS-II) 環境省
(日本)
極域・高緯度地域における大気微量成分の高度分布
海上風観測装置(SeaWinds) NASAジェット推進研究所(JPL)
(米国)
海上風の風向風速
地表反射光観測装置(POLDER) フランス国立宇宙研究センター(CNES)
(仏国)
地球表面や大気で反射される太陽光の偏光とその方向性


小型副衛星概要


FedSat

WEOS

μ-LabSat
開発担当 豪州衛星システム共同研究センター(CRCSS) 千葉工業大学 宇宙開発事業団
ミッション概要 ・磁気観測実験、Ka/UHFバンド通信機器実験、GPS実験、高性能搭載コンピュータ実験等を行う。
・連邦制100周年記念メッセージを書き込んだCD-ROM搭載。
・観測用のプローブを複数の鯨に取り付け、位置、水圧、水温等のデータを収集解析することにより、鯨の回遊経路、潜水深度等行動の詳細を解析する。 ・50kg級小型衛星バスの実証実験
・将来の衛星分離機構の実証実験
・遠隔検査技術の実証実験
寸法 1辺約50cmの立方体
伸展マスト長約2.5m
52×52×45(高さ)cm
伸展マスト長約3m
68×68×50(高さ)cm
質量 約58kg 約50kg 54kg(分離後)
寿命 3年間(目標) 1〜2年 3ヶ月以上


画像取得計画

■機体搭載のCCDカメラによる画像
打上げ後 取得画像   画像データ
取得時間
107 s SRB-A分離 98s 〜
403 s 1/2段分離 398s 〜 419s
938 s 2段エンジン燃焼終了 928s 〜 948s
988 s ADEOS-II分離 983s 〜 1003s
1855 s FedSat分離 1850s 〜 1870s
1960 s WEOS分離 1955s 〜 1975s
2070 s μLabSat分離 2065s 〜 2085s


■リフトオフ時のロケット挙動画像(地上カメラ)
 (1段エンジン、SRB-A結合部、アンビリカル離脱等)


■飛行中のロケット光学追跡(地上カメラ)