本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。 
 
高速飛行実証フェーズIの目的
高速飛行実証フェーズIの主要目的は次の通り。
	- 再使用型宇宙輸送系用進入・着陸システムの検証
 再使用型宇宙輸送系に特有な急角度の進入降下を伴う進入・着陸システムの検証を行う。
	                                  
	- 自律飛行技術の蓄積
 自動離着陸を含む自律飛行可能な機体の開発をとおして、再使用型宇宙輸送系に必須な自律飛行技術の蓄積を図る。
高速飛行実証フェーズIの飛行概要
高速飛行実証 実証機「その1」
全備質量:835kg
全長:3.8m
全幅:3.0m
 
 
クリスマス島
 
 
高速飛行実証フェーズIの進捗状況
	- 実証機/地上装置
 工場での組立、整備、試験が終了し、米国での高速走行試験を終了した。
 
 
		
			
				| 高速走行試験: |  
				| 実証機の発進から離陸直前まで及び着地直後から停止までの走行安定性、機体姿勢の引き起こし、引き下げ等の確認を行う試験 |  
 
	- 着陸場および関連設備
 クリスマス島での整備が終了した。
高速飛行実証フェーズIの設計審査状況
	- 平成12年7月に設計検討会を実施し、機体等の設計に問題ないことを確認した。
	
	- 平成14年4月に開発完了審査を実施し、機体製作や国内で実施したシステム試験に問題ないことを確認した。なお、この際、外部の有識者によるレビュを実施した。
	
	- 平成14年8月にデルタ開発完了審査を実施し、高速走行試験結果等の審査を行い、飛行実験の準備に移行して良いことの確認を実施した。
	
	- 小型超音速実験機の不具合を受け、特別点検を実施し、外部有識者等から飛行実験の手順書の整備に係わること以外は、大きな問題がないとの提言を受けた。
高速飛行実証フェーズIの安全審査状況
	- 平成11年7月に、システム安全性プログラム計画書及び安全性要求が妥当であることを安全審査委員会で承認された。 
	
	- 平成14年6月〜7月に、システム安全性検討結果・飛行安全計画・地上安全計画について、NAL/ NASDA合同の専門家による事前審査を受け、同年7月に安全審査委員会で安全性に問題ないことが確認された。
高速走行試験結果

 各搭載機器、方向制御能力、ローテーション能力、自力加速能力等、滑走性能に問題ないことを確認した。 
高速飛行実証フェーズI飛行実験計画概要
	
		
			| (1) | 基本機能確認飛行: 1回以上 | 
		
			|  | 機体の基本機能を確認し、自律飛行技術の蓄積を図る。また、この飛行により、フェーズIIの飛行実験を実施するための基本飛行機能も確認する。 
 
 | 
		
			| (2) | 再使用型宇宙輸送系経路追従飛行: 1回以上 | 
		
			|  | 再使用型宇宙輸送系に特有な急角度の進入経路の飛行を行い、進入・着陸システムの検証を行う。 | 
	
 なお、実際の飛行回数は、再現性の確認や技術的ステップアップのための飛行を考慮して、定める。
高速飛行実証フェーズI飛行実験計画詳細
	
		
			| 実験番号 | 実験項目 | 実験内容/目的 | 評価項目 | 
		
			| 飛行実験1 (F001)
 | 基本機能確認飛行 | 気象条件が穏やかである時に、離陸後、脚を格納し、急激な機体姿勢角変動を採ることのない比較的低高度の経路を飛行し、着陸する。 | ・自律飛行性能確認 ・搭載機器の基本性能確認
 (特に航法機器の特性評価)
 | 
		
			| 飛行実験2 (F002)
 | 基本機能確認飛行 | 気象条件等が厳しい状態でのF001の再現性を確認する。併せて、舵効き等の亜音速空力データの取得を行う。 | ・F001の再現性確認 ・空力データ同定手法確認
 (オプション)
 | 
		
			| 飛行実験3 (F103)
 | 経路追従飛行 (その1)
 | 高度3[km]程度から経路角約15度の進入経路への経路追従能力について確認する。 | ・経路追従性能確認(緩経路角) | 
		
			| 飛行実験4 (F104)
 | 経路追従飛行 (その2)
 | 高度5[km]程度から経路角約25度の進入経路への経路追従能力について確認する。併せて、ダウンレンジ局との電波リンクデータ特性を取得する。 | ・経路追従性能確認(急経路角) ・ダウンレンジ局との電波リンクデータ
 (オプション)
 | 
		
			| 飛行実験5 (F105)
 | 経路追従飛行 (その2)
 | 気象条件等が厳しい状態でのF104の再現性を確認する。併せて、舵効き等の亜音速空力データの取得を行う。 | ・F104の再現性確認 ・空力データ同定手法確認
 (オプション)
 | 
	
注 : F002/F103/F105は、その前に実施する飛行実験の結果も踏まえ、省略や順番の入れ替えを実施することもある。
自律飛行性能確認とは:
自律飛行性能確認とは、以下のことを確認することである。
- (1)離陸できること
	- 滑走路上を加速し、適切な速度で、機首引起しを出来ること。
- 引起し後、離陸速度まで加速し、離陸できること。
- (2)上昇ができること
	- 目的の経路を適切な上昇率で上昇できること。
- 脚を適切に収納できること。
- 適切な高度で水平飛行に移行できること。
- (3)巡航できること
	- 目標のポイントに向かって適切に飛行できること。
- 旋回ができること。
- 適切な速度制御ができること。
- (4)進入/着陸できること
	- 正しく進入経路に載ることができること。
- 脚出しが確実に実施されること。
- 適切な速度制御/降下率制御ができること。
- 接地後の機首下げを正しくできること。
- 適切な着陸滑走の方向制御ができること。
- 適切な制動制御ができること。
高速飛行実証フェーズI飛行径路(高度時刻暦)
 
 
高速飛行実証フェーズI実験隊
 
 
実験実施に係わる安全確保
- 飛行安全
-  実証機の飛行安全は、テレメータ等により取得された各種データに基づき機体の飛行状態を判断し、機体もしくはその破片等が定められた警戒域を逸脱する可能性が生じた場合に所要の措置を講ずることにより、達成する。
- 地上安全
-  飛行実験に係わる作業の安全については、地上安全計画書に従って、所要の処置を講じる。なお、整備期間中も含め、実験場施設へ関係者以外の立ち入りがないよう、要所に警戒員を配置して、警戒を行う。
高速飛行実証フェーズIにおける飛行安全処置手段
 
 
	
		
			| 
				
					
						| 
							
								
									| <非常措置時舵角> |  
									| 右エレボン | : | +15° |  
									| 左エレボン | : | -25° |  
									| ラダー | : | +20° |  
									| (それぞれ各方向へのフル舵角操舵) |  |  | 
	
 
 
高速飛行実証フェーズIに係わる通信連絡網コンセプト
 
 
実験スケジュール
 
 
	
		
			| (注) | 上記スケジュールで、▽はおおよその実験予定日を示す。なお、H-IIA 3号機/4号機の打上げとのスケジュールが干渉する場合は、H-IIA 3号機/4号機の打上げスケジュールを優先させるため、上記実験スケジュールは変更がありうる。 |