宇宙開発事業団
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
【目的】
気象条件が穏やかである時に、離陸後、脚を格納し、急激な機体姿勢角変動を採ることのない比較的低高度の経路を飛行し、着陸することにより、以下の項目を確認する。
(1)自律飛行性能確認
(2)搭載機器の基本性能確認
【結果】
(1)発進日時: | 平成14年10月18日(金) 午前5時50分(現地時間) (18日(金) 午前0時50分(日本時間)) |
(2)飛行時間(発進から停止まで): | 約9分30秒 |
(3)着陸時の天候: | 晴れ、南東の風、風速 約1m/s(瞬時値) |
(4)停止点 滑走路*端からの距離: 滑走路中心線からの距離: |
約1225m (滑走路*:長さ1800m) 約0.8m |
(5)高度保持時の高度: | 約600m (計画値:600m) |
(6)高度保持時の対気速度: | 約80m/s |
イベント | 実績(暫定値) | 計画 |
---|---|---|
発進 | 0秒 | 0秒 |
機首上げ開始 | 13秒 | 13秒 |
離陸 | 17秒 | 16秒 |
脚上げ | 23秒 | 24秒 |
上昇終了 | 48秒 | 46秒 |
第1回旋回開始 | 1分24秒 | 1分24秒 |
最終旋回開始 | 6分30秒 | 6分18秒 |
脚下げ開始 | 7分55秒 | 7分43秒 |
主脚接地 | 9分07秒 | 8分56秒 |
ブレーキ開始 | 9分18秒 | 9分05秒 |
停止 | 9分35秒 | 9分23秒 |
区分 | 確認項目 | 結果(カッコ内はノミナル値) |
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離陸 | ・滑走路上を加速し、適切な速度で、機首引起しを出来ること。 ・引起し後、離陸速度まで加速し、離陸できること。 |
・機首上げ時の速度:40m/s(40m/s) ・離陸時の速度59m/s(60m/s) ・滑走距離:450m(455m) |
上昇 | ・脚を適切に収納できること。 ・目的の経路を適切な上昇率で上昇できること。 ・適切な高度で水平飛行に移行できること。 |
・EAS(等価対気速度)保持モード終了時のEAS:91m/s(92m/s) ・脚収納開始高度:13m(12m) ・水平飛行高度:600m(600m) |
巡航 | ・目標のポイントに向かって適切に飛行できること。 ・旋回が出来ること。 ・適切な速度制御が出来ること。 |
・ポイントの位置 (-5950m,3970m)(-5940m,3970m) ・旋回半径:2.0km(2.0km) ・巡航速度:80m/s(80m/s) |
進入/着陸 | ・正しく進入経路に載ることが出来ること。 ・適切な速度制御/降下率制御が出来ること。 ・脚出しが確実に実施されること。 ・接地後の機首下げを正しくできること。 ・適切な着陸滑走の方向制御ができること。 ・適切な制動制御ができること。 |
・目標進入経路からのずれ:2.6m ・脚出し高度:250m(250m) ・接地時降下率:1.8m/s(1.5m/s) ・接地点(滑走路端より):285m(300m) ・接地後ピッチレート:20deg/s(1deg/s) ・左右方向のずれ 接地時:-4.7m(-1.6m) 停止時:+0.8m(+0.5m) ・滑走距離:940m(890m) |
最大位置誤差 | 位置誤差の1σ | |
---|---|---|
滑走路方向 | 0.41m | 0.08m |
滑走路横方向 | 0.23m | 0.05m |
垂直方向 | 0.81m | 0.11m |
【現象】
着陸時にバウンド現象が認められた。バウンド現象は、事前のシミュレーションの一部のケースでも確認されているが、これに比して大きめであった。
なお、バウンド時の衝撃加速度については、最大3G程度であり、規定値(主脚:4G、搭載機器:15G)に比べ小さく、かつ実験後の脚部、搭載機器の機能点検の結果も良好であった。
【原因】
接地時の頭下げ角速度が予想より大きく、その結果、空力舵面による頭上げが過剰に作動し、再浮上が生じたものと推定している。頭下げ角速度の予想が異なったのは主として脚からの反作用の扱いにおいて考慮されていないパラメータがあったためと考えている。
【対処】
バウンド現象を緩和するため、脚の反作用のモデルを改善した後、接地後の姿勢制御パラメータなどを調整し、次回試験に臨むこととしたい。
![]() 機体搬出前点検 |
![]() 機体搬出 |
![]() 飛行前準備(管制棟内) |
![]() 飛行状況(発進直前) |
![]() 飛行状況(着陸直前) |
![]() 着陸後点検 |
■第1回の飛行実験において、予定どおりの基本機能が確認できた。
■次回試験については、着陸時のバウンド現象緩和の処置を講じた上、10月28日の週を目処に「経路追従試験」を実施する方向で詳細を検討中である。