プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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「きぼう」利用多様化に向けて
〜第1回フィジビリティスタディ実施結果、及び第2回アイデア募集の選定結果について〜

平成14年4月15日

宇宙開発事業団

 平成13年度より宇宙開発事業団(NASDA)は、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の利用拡大・多様化をめざした新たなアイデア募集とその実現可能性についての検討(FS: Feasibility Study)を実施しています。
 第1回のアイデア募集では、平成13年7月に行われたNASDA内外の専門家による選考委員会で34件の応募から9つのアイデアが選ばれ、FSを行ってまいりました。平成14年3月に行われた選考委員会で評価した結果、4つのアイデアについてFSを継続し、そのうち1つについては、先進性、実現性が高いことから、平成14年度はパイロットプロジェクトとして実施に向け、詳細検討を進めることが決定致しました。
 第2回アイデア募集では、平成14年3月の選考委員会で32件の応募から3つのアイデアを選び、4月に事業団として正式にFSを行うことが決定致しました。

 詳細は添付資料をご参照ください。

添付:「きぼう利用多様化に向けたフィジビリティスタディ」



きぼう利用多様化に向けたフィジビリティスタディ
〜第1回選定テーマの実施結果、及び第2回募集選考結果について〜

1.「きぼう」利用多様化に向けたフィジビリティスタディの目的

 「きぼう」利用多様化フィジビリティスタディは、従来の利用に加えて新しい分野・利用者層・枠組みによる宇宙環境の利用(一般利用)を促進することにより、きぼうの利用に向けた適切な利用制度(利用料金、利用ガイドライン、成果の取り扱い等)の検討に役立つ知見を得ることを目的として、多様な利用アイデアを公募し、選考したものについてその実現可能性に向けた共同研究を行うものです。

2.第1回フィジビリティスタディの実施成果及び今後の進め方

(1)選定経緯
平成13年7月に、34件の応募(応募期間:平成13年3月〜6月)から事業化・エンターテイメント・教育・文化等にわたる9テーマを選定し、共同研究を実施しました。
"表1"を参照ください。
(2)実施成果
 選定した9テーマについてフィジビリティスタディを実施したことにより、従来にない新しい分野での利用可能性・具体的ニーズが明らかになり、また、実施に向けて整備が必要な制度について有益な知見が得られました。現在、これらの経験をもとにきぼう利用相談室(宇宙環境利用事業促進室)が具体的な利用制度の改善・新しい制度の構築を検討しています。
(3)各テーマの今後の進め方
 平成14年3月に、実施成果をもとにNASDA内外の専門家による選考委員会が各テーマの今後の進め方について検討を行いました。その結果、1テーマ(スターメール)は事業化が可能であり、また、利用制度を検討していく上で参考となる先導的な要素が多く認められるため、提案者と共同でパイロットプロジェクトとして実施します。 また、教育・文化の3テーマについては引き続き研究すべき課題が残っているため今年度も共同研究を継続することとしました。
(4)実施成果の公表
 平成14年5月17日(金)にNASDA本社NASDAiプレゼンルームで、全9テーマについて、第1回パイロットプロジェクト(「ISS映像を活用したCM製作・実施プロジェクト」提案者:株式会社電通)とあわせて公開の成果発表会の開催を予定しています。

[今年度実施する4テーマ]
(1) スターメール (提案者:株式会社アイ・エイチ・アイ・エアロスペース)
提案者側の事業化に必要な利用制度の確立及び技術的検証のためのパイロットプロジェクトとして実施。
(2) 利用拡大のための宇宙における服飾の検討 (提案者:女性宇宙フォーラム)
宇宙飛行士への応用・事業化の可能性について共同研究を継続。
(3) 搭載カメラを利用した宇宙教育システム
(提案者:東日本国際大学 浅井義彦助教授)
教育コンテンツの作成など教育現場への応用について共同研究を継続。
(4) アートの効果的な活用に関する試行的プロジェクト (提案者:女性宇宙フォーラム)
フライトやイベントへの応用について共同研究を継続。
表1  第1回フィジビリティスタディ選定テーマの実施結果
テーマ・提案者名【上段】テ ー マ 概 要
【下段】実 施 結 果
   1    宇宙ロボットコンテスト

石川島播磨重工業(株)
北澤 幸人 殿
(教育・エンターテイメント)
無重量下でロボットに競技を行わせるロボットコンテストを、教育面での利用拡大も考慮の上実施する
宇宙ロボットコンテストの開催に向けた各種課題を検討するための研究会を発足し、技術的な課題や、コンテスト開催に適した組織の検討を行った。「きぼう」打ち上げまでの期間に開催するプレイベントの計画と、モデルゲームの提案を中心に検討を行った。
2 スターメール

(株)アイ・エイチ・アイ・エアロスペース
山中 勉 殿
(事業化)
 ISS(「きぼう」)を経由するメッセージサービス
サービスを実施するための地上側/宇宙機側のハードウェア、ソフトウェア、マーケテイングを基礎とする運用形態・ビジネスモデルの仕様の検討を行い、次年度からビジネスを開始するためのベースを確立した。
3 宇宙ガーデニング

石川島播磨重工業(株)
桑田 知之 殿
(教育・事業化)
宇宙飛行士のヒーリング・教育等を目的とした簡易な植物栽培
「きぼう」内での栽培に適した植物の種や栽培方法を検討するために研究会を発足し、植物種の選定や宇宙機内での栽培の技術的課題の検討を行った。
4 利用拡大のための宇宙における食文化の検討

女性宇宙フォーラム
大貫 美鈴 殿
(文化)
宇宙食に係るデータ整理、宇宙食・パッケージの提案・開発等
 既存の宇宙食の調査や内外の宇宙飛行士へのアンケートやインタビュー、専門家のヒアリングを通じた情報収集を行い、宇宙食に要求される要件を整理した。
5 利用拡大のための宇宙における服飾の検討

女性宇宙フォーラム
大貫 美鈴 殿
(文化)
素材や機能やデザインの観点から宇宙での日常着の検討・提案
 現在宇宙飛行士が着用している衣服に関する技術情報を収集し、内外の宇宙飛行士へのアンケートやインタビュー等も実施して、宇宙活動に適した、また宇宙飛行士の健康維持にも寄与する日常着のための課題の整理を行った。日本女子大学多屋助教授の協力を得て、試作品の製作に必要な技術的要求を抽出した。
6 宇宙VIマーク作成&ブランド化プロジェクト

(株)電通
弦本 克彦 殿
(事業化)
宇宙VIマークの開発とNASDAの提供可能なリソースとのリンケージをはかりミニスポンサーシップに向けたモデルを考察する。
NASDA関係者との制度検討等のディスカッションを行い、ISSをテーマにしたミニスポンサーシップの実施に向けた、諸課題の抽出、事業目的の明確化の検討を行い、またISSに関連する事項の認知度に関する市場調査を行った。
7 搭載カメラを利用した宇宙教育システム

東日本国際大学
浅井 義彦 殿
(教育)
JEM搭載カメラを活用したリアルタイム教育システムをはじめとした教育システムの検討
「きぼう」を使った宇宙教育システムを検討する研究会を発足し、宇宙教育に適したコンテンツや必要とされるネットワークの検討を行った。また、教育の現場で宇宙をテーマとした実験授業を行った。
8 無重量環境における東アジア古代舞踊の試み/敦煌・飛鳥舞踊図(飛天図)との比較研究

お茶の水女子大学(東洋琴学研究所)
石黒 節子(稗田 浩雄)殿
(文化)
 無重量下で芸術的な舞踊を行う試み
飛天の舞に関する中国敦煌の文献や資料を収集し、それに基づき「きぼう」内での舞踊の型を検討した。また、航空機による無重量状態での舞踊を行い、宇宙機内での実現性の検討を行った。
9 アートの効果的活用に関する試行的プロジェクト

女性宇宙フォーラム
大貫 美鈴 殿
(文化)
宇宙とアートの融合や、アートを通じたJEMのイメージ表現の試み
武蔵野美術大学の逢坂卓郎教授をヘッドとする研究チームと連携し宇宙飛行士とのディスカッションなどを通じて「きぼう」内でのアートイメージ表現やその意義を検討した。

3.第2回フィジビリティスタディの選考結果

 平成13年11月から平成14年1月の期間、第1回選定テーマを補完する利用アイデアとして第2回募集を行い、その結果、32件の応募を頂きました。
 平成14年2月、選考委員会として書類選考を行い8テーマにしぼり、3月には企画提案会を実施し、3テーマを選考しました。
 平成14年4月9日、NASDAとして、最終的に以下の3テーマについて実施可能性に関するフィジビリティスタディを実施することに決定しました。

(1) 「きぼうに関連する画像、ビデオ、音声等を一般国民に広く利用を普及させるための手法」(映像データ利用事業)
提案者 : スペースレフ合資会社
NASDAの保有する画像等のデータを一般に広く利用して頂くための制度の検討を行います。
(2) 「Space Ram」(新しい宇宙食の開発・宣伝・地上事業への展開)
提案者 : 日清食品株式会社
宇宙食としてかねてから要望の高い麺類を保存、パッケージ、調理方法、喫食方法等を検討し開発します。医療、保存食としての応用も可能です。
(3) 「スターメール発展型サービス(スター・キャンプ)」(教育エンターテイメント事業)
提案者 : 株式会社アイ・エイチ・アイ・エアロスペース
第1回フィジビリティスタディで実施基盤を確立した「スターメール」(ISS(きぼう)を経由するメッセージサービス)をアミューズメントシアターに発展させる可能性について検討します。

 なお、本件フィジビリティスタディを含む国際宇宙ステーションなどの宇宙環境の利用に関するお問い合わせは、「きぼう利用相談室」へお願い致します。



きぼう利用相談室(宇宙環境利用事業促進室)
 〒105-8060
 東京都港区浜松町2-4-1世界貿易センター宇宙開発事業団内
 電話 : 03-3438-6639
 FAX  : 03-5777-0354
 e-mail : kibo-sokushin@nasda.go.jp