宇宙開発事業団
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
「こだま」(DRTS)のリフトオフ以降の主要イベントを下記に示す。9月15日にクリティカルフェーズは終了し、静止化に向けての作業及び初期機能確認を進めているところである。
イベント | 日時 | 近地点高度の推移 ()内計画値 |
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リフトオフ 地上設備のトラブルが生じたが、増田経由筑波からのコマンドに切り替えて予定通り打上げ。 (別紙1参照) |
10日 17:20 | 0 |
DRTS分離 | 10日 17:49 | 449km (450km) |
太陽電池パドル展開・太陽捕捉確認 (別紙3参照) |
10日 17:59 | - |
第1回アポジエンジン噴射 | 11日 9:21開始 (約60分) |
7,397km (7,791km) |
第2回アポジエンジン噴射 | 12日 11:21開始 (約59分) |
32,392km (32,279km) |
第3回アポジエンジン噴射 注:酸化剤枯渇による自動停止 (別紙2参照) |
13日 10:26開始 (222秒噴射予定のところ 103秒で停止) |
33,855km (35,786km) |
20Nスラスタによる軌道変換 | 14日 9:21開始 (約39分) |
35,833km (35,787km) |
フィーダリンク用アンテナ、衛星間通信用アンテナ展開運用 (別紙3参照) |
15日 8:40開始 〜10:25終了 |
- |
ノーマルモード移行(三軸確立、パドル太陽追尾開始、ホイールランアップ) | 15日 14:15開始 〜17:28終了 |
- |
静止化 | 打ち上げ約1ヶ月後に完了 | - |
初期機能確認終了、定常運用へ移行 | 打ち上げ約4ヶ月後に完了 | - |
(参考)USERSの運用追跡管制支援状況
NASDAの新GN(地上ネットワーク)の5局(沖縄、勝浦、マスパロマス、キルナ、パース)によるネットワーク支援を予定通りに実施している。
1.不具合発生状況
打上げ6時間前の衛星パワーオン作業において、以下の不具合が発生した。
(1)テレメトリ異常 | : | 衛星をパワーオンしたところテレメトリデータの大部分が「0」を示した。 |
(2)コマンド異常 | : | その後、衛星を一旦オフし、再度パワーオンしたところ、Sバンド送受信機(STR)送信部オンのコマンドが実行されなかった。 |
(1) | テレメトリ異常
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(2) | コマンド異常
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・ | コマンド運用は衛星パワーオンから10秒後を目安に開始していたが、本現象発生時では、十分なタイミングに至らなかったものと推定している。 |
(1) | 射場電源によるバッテリー充電を一時中断して、衛星をパワーオン操作する。 |
(2) | STR受信部のアップリンク信号へのロックを容易にする(アップリンク信号周波数を掃引)手順とし、衛星を正常に起動した。 |
○ | 射場電源をメーカに持ち帰り、電圧立ち上がり速度の変化等を詳細に調査して原因を更に究明する。 |
○ | 上記の結果を含めFTA解析を実施し、今後の衛星の射場作業については必要により手順の見直し等の措置を講じていく。 |
(1) | #3AEF早期燃焼停止は、酸化剤が枯渇した為であること。 |
(2) | #1〜#3でのAEFにおいて、アポジエンジン燃焼圧が約3%計画値より低かったこと。 |
(3) | #1〜#3AEFによる姿勢外乱が予測に比べ小さく、その結果20NスラスタによるAEF時の姿勢制御により得られる増速量への寄与分が予測の約1/4であったこと。 |