宇宙開発事業団
JSAT株式会社
情報格差(デジタル・ディバイド)の是正は、日本政府が推進中のe-Japan戦略の重点政策分野において、推進すべき方策の項目の1つに位置付けられています。宇宙開発事業団(NASDA)は社会基盤として貢献できる超高速インターネット衛星(WINDS)の技術開発を進めるに当り、アジア地域で最大規模の衛星通信事業者であるJSAT株式会社との共同研究を通して、島嶼・山間地域等での情報格差是正に資することを目指して、新規開発衛星に必要な要素技術の開発及び利用開拓を実施します。
本共同研究の内容は、衛星回線を利用した高速インターネット環境構築に関する利用実験であり、ユーザが地球局を設置しただけでインターネット接続が可能となる仕組み(「衛星リソース動的割り当て技術」)を開発し、実証実験を行うものです。
当事業団では、現在研究開発中の超高速インターネット衛星の打ち上げを2005年に予定しており、それまで継続的に実験を実施し、衛星開発或いは利用開拓に本研究成果を反映させていく所存です。
(背景)最近、都市部などの人口集中地区でADSLや光ファイバーなどのサービス提供が拡大し、情報通信インフラがブロードバンド化する中で、島嶼、山間地域など過疎地域では、都市圏に比べケーブルテレビ、ADSL等の地上網接続も困難な地域が存在し、また通信事業者の採算性等の問題等からサービス提供が遅れ、今後一層情報格差(デジタル・ディバイド)が拡大すると予想されます。一方、衛星通信は比較的簡単に通信ネットワークを構築することが出来る特徴を有する事などから、この情報格差を解消するための有力なインフラとして大きな期待が寄せられています。また情報格差(デジタル・ディバイド)の是正は、日本政府が推進中のe-Japan戦略の重点政策分野においても、推進すべき方策の項目の1つに位置付けられています。 (共同研究相手先)
このような背景を踏まえて、当事業団ではこうした地域でのデジタル・ディバイド解消に資するため、小型地球局を用いた衛星回線によるインターネット環境の構築を可能とする技術の確立を目指し、超高速インターネット衛星(WINDS注記1))の研究開発を進めています。 (期待される共同研究の成果)
本共同研究の内容は、衛星回線を利用した高速インターネット環境に関する利用実験であり、衛星回線及びIP通信に関するパラメータを自動的に設定し、ユーザが地球局を設置しただけでインターネット接続が可能となる仕組み(「衛星リソース動的割り当て技術」)を開発し、実証実験を行うものです。高速化が望まれるインターネットの下り回線に衛星通信を用い、比較的情報量が少ない上り回線には携帯電話など既設の地上網を利用し、「いつでもどこでも」使える高速インターネット環境を構築します。その次段階として、上り回線についても衛星回線を用いる双方向衛星通信システムによる高速インターネット環境構築に関する研究等も予定しています。 注記1) WINDS: Wideband InterNetworking engineering test and Demonstration Satelliteの略称。 (実験システム)実験システムにつきましては、JSATと共同で実験システムを構築し、同社保有の通信衛星JCSAT-4A号の衛星回線を利用し、実験推進を行います。 |
注記1) | 衛星リソース動的割り当て技術 他のインフラが無いことを前提に、小型地球局へインターネットアクセスサービス提供 の為のリソースを自動的に割り当てる技術。 |
注記2) | ネットワークオペレーションセンター 一般的にNOC(Network Operation Center)と略される。衛星回線へのアップリンク、ネットワーク 監視・運用等を行うネットワーク運用センターのこと。 |
(実験協力相手先)
今回の共同研究では、IT振興に先進的な取り組みを見せている自治体等の協力も得て、新潟県佐渡島や、長崎県福江島をはじめとする九州地方の島嶼・山間地域等で平成13年度から実験を実施しています。同様の実験は、名護市を中心とする沖縄県北部地域でも予定しています。 (今後の予定)今後、当事業団では、現在研究開発中の超高速インターネット衛星の打ち上げを2005年に予定しており、それまで継続的に実験を実施し、衛星開発或いは利用開拓に本研究成果を反映させていく所存です。 |