プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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スペースシャトル(STS-107)を利用した宇宙実験教育プログラムの実施について

平成14年2月20日

宇宙開発事業団

 宇宙開発事業団(NASDA)は、平成14年7月11日打上げ予定のスペースシャトル「コロンビア号」(STS-107)でタンパク質結晶成長実験を実施する予定です。この機会に青少年の方々に宇宙開発や自然科学に対する関心を深めてもらうことを目的に「宇宙実験教育プログラム」を実施いたします。

実験内容      タンパク質結晶成長実験
応募資格 高校生または高校と同等の学校の生徒2名以上からなるチーム
参加費 無料
応募締切 3月22日(金)
※ 詳細は添付資料「NASDA宇宙実験教育プログラム募集要項」参照。

 なおSTS-107ミッションの副ミッションサイエンティストであるNASDAの向井千秋宇宙飛行士が、地上で今回の「宇宙実験教育プログラム」のアドバイザーを務めます。

高校生の皆さん、またとないチャンス到来です。 宇宙を飛行するスペースシャトルの実験室でタンパク質の結晶を作ってみませんか? 一緒にチャレンジしましょう!
(向井宇宙飛行士からのメッセージ)

*本情報につきましては、STS-107 タンパク質結晶成長教育プログラムでもご覧いただけます。



STS-107宇宙実験教育プログラム実施の経緯


 宇宙開発事業団(NASDA)では青少年を対象に宇宙開発及び自然科学に対する関心を深めてもらうことを目的に、スペースシャトルの飛行機会並びに国際宇宙ステーションの教育利用枠等のいろいろな機会をとらえて宇宙実験、宇宙授業を継続的に実施してきている。

毛利宇宙飛行士が搭乗した第一次材料実験計画(FMPT:ふわっと92)では宇宙実験教育プログラム「宇宙授業」を実施。
向井宇宙飛行士が搭乗したSTS-95(1998年)では軌道上での植物育成宇宙実験に対応した地上対照実験を小学生を対象に実施。
毛利宇宙飛行士の2度目の搭乗となったSTS-99(2000年)では液体挙動観察実験、レーダー電波反射実験、EarthKAMプログラムを実施。
2001年6月及び11月にはISS第二次長期滞在クルー並びに第三次クルーとの教育イベント(宇宙授業)を実施。

 今回のSTS-107で行う宇宙実験教育プログラムについては、NASDAが、生物学上の基礎実験及び医薬品への応用研究を目的に、蛋白質結晶成長実験を行う機会をとらえて、高校生を対象にした宇宙実験教育イベントとして企画した。実施については、スペースハブ社による教育向けサービスを前提として、蛋白質結晶成長セル利用の可否について同社に打診したところ、利用可能との回答を得て、実施の運びとなった。



「STS-107宇宙実験教育プログラムイメージ図」




「STS-107宇宙実験教育プログラムの流れ」




「配布する主な実験キット」


卵白リゾチーム
沈殿剤
シッティングドロップ型結晶生成容器(下図)
ピペット


「タンパク質結晶成長実験の原理」


タンパク質溶液から沈殿剤溶液に水分が移動し、タンパク質溶液の濃度が上がる 溶液中のタンパク質が結晶化
タンパク質溶液・沈殿剤溶液の濃度・量を変えることで結晶のでき方が変化する より良い結晶化の条件を探そう!


「リゾチーム結晶の出来映え例」





〜タンパク質結晶実験参加募集について〜


 宇宙開発事業団(NASDA)は、生物学上の基礎になる研究や医薬品への応用に対する研究等を目的として、スペースシャトルに搭載されるタンパク質結晶成長実験装置を利用して、宇宙実験を行い、各種タンパク質とその結晶に関する研究を行います。

 NASDAはこの宇宙実験の機会を利用して、タンパク質の結晶実験を行う高校生のチームを募集します。

なお予定しているスペースシャトルは、平成14年7月11日打ち上げ予定です。
(約16日間の飛行)

1. 目的:

 人体の最小単位をつかさどる重要な要素の一つ、タンパク質。このタンパク質に関する自由な実験・研究を行うことを通して、タンパク質とは何か、タンパク質の構造と機能、無重力を利用する実験の意義などについて、学んでいただける機会を提供します。

2. 実施内容:

(1) 予備実験の実施:
応募した高校生チームに、NASDAからタンパク質結晶成長実験キットを配布しますので、それを用いて良質なタンパク質結晶を作る実験条件を探し出します。
(2) 1次レポート作成:
予備実験の結果をもって、1次レポートを提出していただきます。
(3) 1次審査:
予備実験結果と実験過程が優秀だったチームを宇宙実験チーム(6チーム程度)として選抜します。(選抜チームには実際の宇宙実験機会が与えられます。)
(4) 自由実験・研究の実施:
選抜にもれたチームも含めて、タンパク質に関する自由な実験・研究をしていただきます。(地上で行えるものなど、宇宙以外でも行える幅広い自由な実験・研究を行います。またNASDAから、研究例も紹介します)
(5) 最終レポート作成:
最終的な研究レポートを提出していただき、厳正な審査により、優秀と認められたチームを表彰します。

3. 応募資格:

高校生または高校と同等の学校の生徒2名以上からなるチーム
(ただし各チームは、指導・協力していただける先生の了解を必ず得てください)

※高専の場合は、高校相当の学年の方でお願いします
※同一学校からの複数チームの応募は可能です
※応募資格を満たしていなければ、募集は受け付けられませんので、注意してください

4. 表彰:

各種表彰があります。
また、最優秀賞を受賞したチームは、NASDA特別レポーターとして、アメリカのNASAの研究施設等に若干名を派遣します。なお派遣された方には別途規定する課題についてのレポートを提出していただきます。(平成15年3月末までの期間で1週間程度を予定。行程の詳細については最終審査後ご案内いたします)

5. スケジュール:

・3月22日(金) 募集締め切り(応募されたすべてのチームが参加できます)
・3月中旬〜 実験キットの送付(ガイドブック等を含む)
・3月27日(水) 実験説明会の開催(東京/日本科学未来館にて)
なお、説明会に参加できなくても、配布する実験キットにより、予備実験の実施は可能です。また、皆さんの実験のサポートとして、相談窓口やホームページも開設予定です。
<3月〜4月 予備実験の実施>(各チームで行う)
・4月30日(火) 1次レポート(注1)の提出締め切り(必着)
・5月9日(木) 1次審査(宇宙実験チームを数チーム選抜)
・1次審査にパスしなかったチーム(地上実験チームと呼びます)も、この時点で終了ではなく、タンパク質に関する自由な実験・研究を行い、最終審査に挑戦することができます。
・宇宙実験チームは、配布される宇宙実験専用容器を用いて、宇宙実験条件を検討することと並行して、タンパク質に関する自由な実験・研究も併せて行っていただきます。
<5月〜8月 自由実験・研究の実施(地上実験チーム及び宇宙実験チーム)>
・6月10日(月) 宇宙実験条件の提出締め切り(宇宙実験チームのみ)
宇宙実験チームには、宇宙実験専用容器による結晶化条件を決定して提出していただきます。
・7月11日(木) スペースシャトル打ち上げ(注2)と宇宙実験実施
・宇宙実験実施に関しては、宇宙実験チームから提出された実験条件に基づき、アメリカでの実験準備作業をNASDAが代行します。宇宙実験の実施後、得られた結晶は日本に輸送され、その結晶を用いたタンパク質の立体構造の分析をNASDAが支援します。
・9月9日(月) 最終レポート(注3)の提出締め切り(必着)
・9月27日(金) 最終審査
・10月13日(日) 発表会・表彰式
・表彰されるチームの代表者若干名に参加していただきます
※スケジュールについては変更されることもありますので、ご了解ください。なお、変更される場合は、あらかじめご連絡します
●注1: 1次レポートは、配布する実験キット等を用いてタンパク質の良質な結晶を作る実験条件を探し出し、その際に試行錯誤した実験の取り組みなどと合わせてまとめます。
●注2: スペースシャトル打ち上げ日は、約1ヶ月前にNASA(アメリカ航空宇宙局)が、正式に決定します。
●注3: 最終レポートは、1次レポートの内容と、自由実験・研究の成果も含めて、すべてを取りまとめた総合的なレポートとします。なお、1次レポートを提出せず最終レポートだけを提出することは認められますが、1次レポートだけでは最終審査は受けられません。

6. 参加費:

無料
NASDAから配布されるタンパク質結晶成長実験キット以外の、自由実験・研究に必要となる費用は自己負担となります。
実験説明会に出席するための旅費・宿泊費は自己負担になります。
表彰されるチームの代表者が発表会・表彰式へ参加するための旅費・宿泊費はNASDAから支給されます。

7. 応募方法:

下記事項を明記して、郵送、FAX、電子メールのいずれかの方法で、送付先までお送りください。

(1) チーム代表者生徒氏名(ふりがな)、学年、性別、生年月日(西暦)
(2) チーム代表者の連絡先(郵便番号、住所、電話、FAX、電子メール)
(3) チームの所属する学校名
(4) 指導教員の氏名(ふりがな)および学校連絡先(郵便番号、住所、電話、FAX、電子メール)
(5) チームを構成する全員の氏名(ふりがな)、学年、性別、生年月日(西暦)
<注意> 申し込みを受け付けた後、(4)の先生の学校連絡先に、応募確認書、実験説明会の御案内、実験説明会への出欠確認書(アンケート含む)をお送りします。3月22日(金)までに届かないことが考えられる場合は、下記問い合わせ先に御連絡ください。

8. 応募用紙の送付先:

(1)郵送の場合: 〒169-8624 東京都新宿区西早稲田3-30-16
HORIZONビル4F
(財)宇宙環境利用推進センター
宇宙実験教育プログラム係
(2)FAXの場合: 「宇宙実験教育プログラム申し込み」と明記して、
FAX番号03-5273-0705に送信してください。
(3)電子メールの場合: 「宇宙実験教育プログラム申し込み」と件名に明記して、
メールアドレスsepd@jsup.or.jpに送信してください。

9. 応募締め切り:

平成14年3月22日(金)
(郵送の場合、当日消印有効。FAX・電子メールの場合は、当日中に送信してください)

10. 問い合わせ先:

(財)宇宙環境利用推進センター 宇宙実験教育プログラム担当
〒169-8624 東京都新宿区西早稲田3-30-16 HORIZONビル4F
FAX:03-5273-0705 (TEL:03-5273-2442)
メールアドレス:sepd@jsup.or.jp

11. 注意:

応募書類・レポートは、返却いたしません。

12. 主催:

宇宙開発事業団

13. 事務局:

(財)宇宙環境利用推進センター

14. 後援:

日本科学未来館(予定)



「STS-107宇宙実験計画概要」