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はやぶさ、地球への旅に出発〜最後のチャレンジを達成するために〜
川口 淳一郎
吉川 真
國中 均
矢野 創
齋藤 潤
安部 正真
澤井 秀次郎
吉光 徹雄

「はやぶさ」は、将来の太陽系の資源利用や天体との往復飛行に必要な技術を開発し、それが実際に使えることを実証する工学技術実験衛星です。特に、天体表面からの試料を地球に持ち帰る「サンプルリターン技術」を確立します。そのための目的は主に5つあります。第1は、イオンエンジンという新しい推進機関を使って惑星間を飛行すること。第2は、自分の判断でどこにいるかを知り、自分で近づいて行ったり、姿勢を変えたりするような自律航行。第3は小惑星の試料の採取。第4は、イオンエンジンを使った飛行に、地球の重力を利用した地球スウィングバイを併用して加速すること。そして最後が、試料を積んだカプセルを地球に持ち帰ることです。小惑星からサンプルを持ち帰ることは史上初の試みで、成功すれば世界的快挙となります。
2003年5月に打ち上げられた「はやぶさ」は、約20億kmを旅した後、2005年9月に小惑星イトカワに到着し、同年11月にイトカワへの着陸に成功しました。ところが、その後の燃料漏れなどのトラブルで出発が延期されてしまいました。「はやぶさ」が小惑星の試料採取に成功したかどうかは、カプセルが地球にもどってくるまで分かりませんが、「はやぶさ」プロジェクトチームは、試料採取に成功したことを信じ、サンプルを地球に持ち帰りたいという強い信念で探査機の復旧作業を行ってきました。
そして2007年4月、「はやぶさ」は地球に向けて出発しました。帰還は2010年6月の予定です。この後3年間の長い旅路で、「はやぶさ」に何が起こるかは誰にも予測できませんが、プロジェクトチームはこれまでも数々の試練を乗り越え、偉業を達成してきました。地球帰還を目指して「はやぶさ」の運用を行うプロジェクトチームのみなさんに話を聞きました。