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準天頂軌道とは

日本のためのユニークな軌道
準天頂衛星の軌道は、日本での利用に適したユニークな軌道です。
通常の静止衛星は赤道上に位置しますが、その軌道を斜めに傾け、日本の真上を通る軌道にします。しかし、1つの人工衛星が常に日本上空に滞在するわけではありません。軌道が斜めに傾いているので、地球の自転とともに人工衛星も少しずつ角度を変え、南北に移動していきます。1機の人工衛星が日本の真上に滞在できる時間は7〜9時間程度です。そのため、複数機を時間差で入れ替えることにより、常に1機が日本の上空に滞在させることになります。

準天頂衛星の軌道
準天頂衛星の軌道を、地球を止めた状態で見てみると、人工衛星が8の字を描くように動いているように見えることから、当初つけられたニックネームが『8の字衛星』と呼ばれるものでした。
この8の字を描く軌道だけでなく、いくつかの案が検討されました。
赤道に対して軌道を傾けて、さらに楕円に(離心率を大きく)して人工衛星が地球から一番離れる位置を北半球の日本付近の上空にすることで、日本上空の滞在時間をできるだけ長くすることができ、その場合は『非対称の8の字』や『涙型』のような軌道になります。

各軌道のメリット

対称8の字:
南北対称の軌道なので、日本とオーストラリアなど、南北で同じようなサービスを行うことが可能です。


非対称の8の字:
準天頂衛星システムが採用する軌道であり、放送衛星として利用する際には人工衛星から衛星への切り替えが行いやすい軌道です。8の字軌道に比べて日本付近での1衛星あたりの滞空時間が長いのがメリットです。


涙型:
人工衛星が日本上空でより長い時間滞在する軌道ですが、人工衛星と地球の間の距離の変化が大きく、アジア・オセアニア地域でのサービスには技術的にいくつかの課題があり、準天頂衛星システムでは採用されませんでした。



準天頂軌道とは


さえぎるもののない空から
準天頂衛星の最大の特徴は、その名のとおり、ユーザが“準天頂”を通る“人工衛星”からの信号を障害物の少ないほぼ真上から受信できることです。
日本は北半球の中程に位置しているので、例えば静止衛星(*1)からの信号を受信するには、アンテナを赤道(南)の方角に、約30〜50度傾けないと信号が受信できません(地域や静止衛星の経度によって異なります)。そのため、その方向に山やビルがある場合、信号が邪魔されて受信することができないことがあります。

*1:静止衛星
赤道上に位置し、常に地球と同じ周期で回っているので、地球から見ると止まっているように見えることから、静止衛星と言われています。
常に同じ方向から信号を送っているので、BS・CSなどのようにアンテナを固定して受信することが可能です。

一方、準天頂衛星システムは、人工衛星からの信号をほぼ真上から受信できるので、特に、山間部や都心部の高層ビル街でのGPSの利用効率改善の効果が大きく、その活用が期待されています。

また、衛星測位を行うには、4機以上の人工衛星が必要ですが、測位の精度を良くするためには、測位をするときに利用する人工衛星たちの幾何学的配置が重要です。天頂付近にある準天頂衛星はこの幾何学的配置の改善にも有効です。


さらに詳しく:
高精度測位を行うためには、測定地点から見て、どの人工衛星を利用するかが重要なポイントとなります。測定を行う人工衛星の配置が一方向に偏っていてると、測距誤差が拡大してしまい、ユーザの測位精度の劣化につながります。理想的には天頂と、広く地平線の上に3つの衛星が散らばっている状態がいちばん測位には良い幾何学的配置です。準天頂衛星は、少なくとも1機の衛星が天頂方向に見えるため、この理想的な衛星幾何学的配置に近く、GDOP(Geometric Dilution of Precision:幾何学的精度劣化係数)が小さくなり、測位精度の改善効果が期待できます。