
第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)

地球環境変動観測ミッションGCOM(Global Change Observation Mission) は、宇宙から地球の環境変動を長期間に渡って、グローバルに観測することを目的としたプロジェクトです。
GCOMは、地球の水循環と気候変動を観測する、いわば宇宙から地球を健康診断する役割を持っています。GCOMには水循環変動観測衛星(GCOM-W)と気候変動観測衛星(GCOM-C)という2つのシリーズがあります。マイクロ波放射計を搭載するGCOM-Wは、降水量、水蒸気量、海洋上の風速や水温、土壌の水分量、積雪の深さなどを観測します。また、多波長光学放射計を搭載する気候変動観測衛星(GCOM-C)は、雲、エアロゾル、海色(海洋生物)、植生、雪氷などを観測します。
GCOMは、大気、海洋、陸、雪氷といった地球全体を長期間(10〜15年)観測することによって、水循環や気候変動の監視とそのメカニズムを解明することが期待されています。「しずく」(GCOM-W1)は、GCOM-Wシリーズの第一期の衛星です。
宇宙から地球を健康診断
「しずく」(GCOM-W1)に搭載される高性能マイクロ波放射計2(AMSR2)は、地表や海面、大気などから自然に放射されるマイクロ波とよばれる電磁波を観測するセンサです。
AMSR2 は微弱なマイクロ波を地表から700kmの宇宙で受信し、そのマイクロ波の強さを非常に高い精度で測定することができます。
地上からのマイクロ波を受信するAMSR2のアンテナ部分は、1.5秒間に1回転のペースで地表面を円弧状に走査し、1回の走査で約1450kmも観測します。この走査方法によって、AMSR2はわずか2日間で地球上の99%以上の場所を昼夜1回ずつ観測することができます。
AMSR2は、環境観測技術衛星みどり2に搭載された高性能マイクロ波放射計(AMSR)および米国航空宇宙局(NASA) の地球観測衛星Aquaに搭載された改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)の後継機です。これら日本のセンサは地球温暖化に伴う北極海氷面積の減少や、エルニーニョやラニーニャのような海洋の中・長期的変動の監視で高い評価を受けています。また、気象庁の数値天気予報や、漁業情報サービスセンターでの魚海況情報など実用面でも貢献しています。
Aqua/AMSR-Eの観測例
左図:北極海の海氷 右図:エルニーニョ(上)およびラニーニャ(下)
さらに、「しずく」(GCOM-W1)はNASAが主導するA-Trainに参加します。これにより、他衛星に搭載される観測センサと、ほぼ同時期に同地点を観測することができ、AMSR2データを利用した科学的研究がさらに拡大します。
A-Train概念図
※A-Trainの詳細については以下のページをご覧ください。
主要諸元
設計寿命 |
5年 |
電力/質量 |
4050W(EOL)/1900kg |
軌道 |
太陽同期準回帰軌道 |
高度/傾斜角 |
700km/98.2度 |
昇交点通過地方太陽時 |
13時30分 ±15分: AMSR-Eと同一 |
AMSR2概要 |
7GHz〜89GHz: 6周波数帯
5〜50km分解能
1450km観測幅 |
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