プレスリリース

プリント

第17号科学衛星(LUNAR-A)の
20Nスラスタ用推薬弁リコールへの対応について

平成16年3月31日

宇宙航空研究開発機構

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。


1.概要

 第17号科学衛星(以下、LUNAR-A)は、世界初のペネトレータにより月の砂の中に設置される月震計等を用いて月の内部構造の解明を目的とする衛星(添付資料1参照)である。
 LUNAR-Aは16年夏期の打上げに向けた準備作業を実施していたが、LUNAR-A搭載の20Nスラスタ用推薬弁がリコール対象となったため、その対策に係る検討状況及び開発スケジュールへの影響を含めた今後の対応について報告する。

2.これまでの経緯

(1)米国MOOG社製の1Nスラスタ用推薬弁に不具合(流量不安定)が発生したため、同一製造工程で製作されたものは、リコール品としてMOOG社が回収し、修理することとなった。(→同社の1Nスラスタ用推薬弁はLUNAR-Aには使用していないため、問題はない。)

(2)上記の不具合の水平展開として20Nスラスタ用推薬弁についてもMOOG社が調査したところ、同様の不具合を生じる可能性を否定できないとの判断に至ったため、米国MOOG社としては、上記1Nスラスタ用推薬弁と同一製造工程 の20Nスラスタ用推薬弁も全て回収し、修理したい旨の連絡があった。この20Nスラスタ用推薬弁は、LUNAR-Aには予備1基を含め7基採用しており、既に衛星本体の配管に溶接済みであった。

(3)LUNAR-Aは16年夏期の打上げに向けて総合試験中であったが、米国MOOG社のからの連絡を踏まえ、作業をホールドして、その対応について検討を実施。

3.対策の検討状況

(1)米国MOOG社との調整の結果から、リコール品の修理後の返却時期は16年6月、遅ければ16年8月頃になる見込み。

(2)国内の他プロジェクトで調達している非リコール対象品を転用する等のスケジュールの最短化を図っても、工程は概算で4ヶ月以上の遅れとなることから、現時点までの検討では、LUNAR-Aの16年夏期の打上げは厳しい状況。

4.今後の対応

 現在、JAXAにおいては、H-IIAロケット6号機打上げ失敗、みどり2及びのぞみの衛星不具合を踏まえ、再発防止に万全を期すため、ロケット・衛星の総点検を実施するとともに、JAXA全体の打上げ計画の検討を行っているところである。
 LUNAR-Aの打上げ時期についても、当該推薬弁の修理/交換時期の反映だけでなく、ロケット・衛星の総点検活動の結果などを踏まえた上で、今後再設定する予定である。





宇宙航空研究開発機構 広報部
TEL:03-6266-6413〜6417
FAX:03-6266-6910