宇宙航空研究開発機構
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
本年6月28日の運輸多目的衛星新1号(MTSAT-1R)「ひまわり6号」の気象ミッションの正式運用開始に伴い、老朽化した静止気象衛星5号(GMS-5)「ひまわり5号」の運用を終了することについて報告する。
(1)平成7年3月18日に「ひまわり5号」をH-IIロケット試験機3号機により打ち上げた。
別紙1に「ひまわり5号」の概要を示す。
(2)平成15年5月22日に可視赤外スピン走査放射計(VISSR)ミラー駆動機構の劣化により南半球の一部が欠け、地球の全球観測ができなくなったことに対応するために、米国衛星「ゴーズ9号」(GOES-9)へ画像観測を引き継ぎ、観測データの利用者への配信及び通報局からの気象観測データの収集のみを継続することとなった。
別紙2に気象衛星画像を示す。
(3)平成17年2月26日に「ひまわり6号」をH-IIAロケット7号機により打ち上げた。
(4)平成17年4月28日に観測データの利用者への配信及び通報局からの気象観測データの収集を「ひまわり6号」に引き継いだ。
(5)平成17年6月22日に気象庁より「ひまわり6号」の正式運用日が6月28日と発表された。
また、同日、気象庁より、「ひまわり5号」の後継機である「ひまわり6号」の正式運用開始と同時に「ひまわり5号」の定常運用段階を終了し、7月17日以降に「ひまわり5号」の運用を終了させたいとの打診があった。
JAXAは、気象庁と調整の上、運用終了に向けての軌道離脱・停波の運用計画の設定を行った。
(6)平成17年7月11日に気象庁とJAXAとの間で、7月21日を目途に「ひまわり5号」の運用の終了させる旨の協議書を締結した。
(1)「ひまわり5号」は軌道上設計寿命5年の2倍を超えて運用されている。
(2)バス機器については、USBトランスポンダ1系の測距信号中継機能喪失(平成15年10月21日の定期点検で確認)が見られるが、その他は、運用上問題となる事象は発生していない。
(3)推薬消費量節約のため平成13年10月23日を最後に南北制御を停止している。
(4)推定誤差を考慮した残推薬の最小値は約2.9kgである。
この値は、「ひまわり5号」に対して、JAXAプログラム管理要求書「スペースデブリ発生防止標準」で要求している軌道離脱の基準、静止軌道の高度上昇距離273kmを確保するために必要な推薬約2.8kgを満たしている。
軌道離脱から停波運用までの作業は以下に示すスケジュール通りに進めている(日時は、総て日本時間)。
・ 軌道離脱作業 :7月17日〜19日(実施済み)
・ 離脱後軌道確認作業 :7月19日〜21日(実施中)
・ 衛星停波 :7月21日 11時
(1)社会的な貢献
打上げ後設計寿命を大幅に越えた8年間、画像を取得し、我が国のみならず世界の気象業務に大きく貢献した。
また、待機運用に移行した後も情報配信の運用を行った。
(2)技術的な成果
設計寿命の2倍を超える期間の運用によりバッテリの管理技術データを取得した。
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