情報通信研究機構
宇宙航空研究開発機構
情報通信研究機構(以下、NICT。理事長:長尾 真)と宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA。理事長:立川 敬二)は、平成18年3月22日から31日にかけて、高度約600kmを周回しているJAXAの光衛星間通信実験衛星「きらり(OICETS)」とNICTの光地上局(東京都小金井市)との間で、レーザ光による光通信実験を実施しました。 その結果、3月31日、同衛星と光地上局との間での光通信実験に成功しました。 こうした低軌道地球周回衛星と光地上局とを結ぶ光通信実験成功は、世界で初めてのことです(※)。
「きらり」のような低高度地球周回衛星と地上局間の光通信は、受信光レベルが大気による減衰やゆらぎにより大きく変動するなか、高速で移動しながら地上局に正確にレーザを送信しつづけるという点で難易度の高いもので、光衛星間通信機器及び精密な衛星捕捉追尾に対する我が国の技術的優位性を示すことができました。
今後「きらり」は、欧州宇宙機関(ESA)の「先端型データ中継技術衛星(ARTEMIS)」との衛星間の光通信実験と併せて、NICTやドイツ航空宇宙機関(DLR)等の機関が所有する光地上局との通信実験を継続し、宇宙環境下での光衛星間通信機器の性能確認、大気の影響評価等を行う予定です。
※ 静止衛星と地上との光通信は、NICTが開発し、JAXAの技術試験衛星?型「きく6号(ETS-VI)」に搭載した光ターミナルとNICT光地上局間、ARTEMISとESA光地上局間の例があります。
【参考資料】
衛星−地上間のレーザ通信実験概要
【光地上局通信実験の衛星捕捉追尾のビデオ映像】
http://www3.nict.go.jp/w/w122/ogs/video.html
計画番号 | 日月 時刻 (日本時間) |
状況 | 結果 |
1 | 3月22日 00:37:28-00:38:40 |
約16秒間、「きらり」は光地上局のビーコン光、光地上局は「きらり」の通信光を受光した。ビット誤り率は計測せず。 | 捕捉追跡に成功 |
2 | 3月24日 01:02:27-01:03:53 |
曇りのため中止 | 中止 |
3 | 3月29日 00:23:56-00:29:48 |
約6分間「きらり」は光地上局のビーコン光を受光、光地上局は「きらり」の通信光を受光した。ビット誤り率約10-5を計測。 | 衛生から地上局への通信に成功 |
4 | 3月31日 00:48:26-00:53:10 |
ビーコン光を切り、通信光のみで4分44秒間の持続的捕捉及び追跡確認。 | 双方向通信に成功 |
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