信頼性向上の問題について、最後に残っていた審査会のありかたについて結論を出しました。これまでも、システムエンジニアリング室や外部の人で信頼性評価室をつくるなどの取組みを行ってきました。その中で、我々のプロジェクトの審査を適正にしようということ、3機関それぞれの審査方法の統一、そして特に、フロントローディングをしっかりやろうということで検討しました。その結果、審査を経営審査と本部審査との2つに分けました。経営審査とは、そのプロジェクトが必要か、技術的に成立しそうか、を最初によく検討して、プロジェクトの準備を始めて良いか、あるいは、プロジェクト化してよいかを、技術的のみならず経営的に判断を行うものです。これにはJAXAの経営陣も参画して判断します。一方、本部審査は、各本部でプロジェクトの審査を行うもので、基本的には従来どおりですが、今回、3機関統合を踏まえて統一的な考え方で取り組むこととしました。この新しい検討結果によって、PDR(基本設計審査)やCDR(詳細設計審査)を確実に行うため、間もなく実行に移します。
10月30日に中国の航天局長と北京でお会いしました。今回の訪中は航天局の訪問が目的ではなく、訪中の際に立ち寄ったものです。1時間半ほど会談をもち、宇宙分野での日中の交流をしようという話をしました。昨年は日本側から国際部を中心に中国を訪れ、見学・話し合いを行いました。そこで今度は中国側に日本へ来てほしいと要請をしました。まだ、具体的な協力アイテムはありませんが、それを発見することも交流の第一段階です。担当者同士で話し合い、どのような協力ができるのか、どのような協力をするのが世界のためになるのかを、考えてほしいと思います。NASAのグリフィン長官も訪中していますが、同じスタンスで交流すると言っていました。
準天頂衛星とLNGプロジェクトについて宇宙開発委員会の推進部会へ報告をし、判断を頂きました。準天頂衛星は、第1号機は民間との共同プロジェクトでなく、国のプロジェクトとして、JAXAが主体的になって打ち上げることに決定され、プロジェクトチーム体制を新たに作り直しました。一方、LNGプロジェクトは、過去の開発計画は順調に進んでおらず、現在の方向で進めた場合をJAXAとして提案しましたが、やるならば世界一流を目指して行うべきとの結論を得て、1年半をかけて検討しなさいということになりました。このため、LNGプロジェクトチームを11月1日で刷新し、向こう1年半で目途をつけることに着手したところです。世界でまだ行われていないものへ挑戦することは、意義があると思っています。また、将来的に、地球からの打ち上げのみならず、他の惑星の探査に活用するうえで、液体酸素・液体水素のエンジンに比べて、メタンガス等を使うLNGは扱い易く、このエンジンの開発を続けたいと思っています。お金がかかると言われましたが、新たなエンジンを開発するためには、これくらいの金額がかかるものと思います。
宇宙の絵を専門に描いている画家の佐和貫利郎さんの絵が、日本の国連加盟50周年の記念切手になり、9月29日に発行されました。祝賀パーティーに出席して知ったもので、佐和貫さんは、太陽・月・地球に関心があり、それを中心に宇宙を想像で描いているのだそうです。