理事長挨拶・定例会見

平成20年4月
平成20年4月 理事長定例記者会見 立川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします。
日 時:2008年4月10日(木) 13:30〜14:10
場 所:東京事務所プレゼンテーションルーム

トピックス
・第1期中期計画の総括について
・第2期中期計画について
・「きぼう」日本実験棟第一便の打ち上げについて
・H-IIBロケット第1段厚肉タンクステージ燃焼試験について
・産学官関係について
・宇宙(そら)のとびらについて
・記念切手について
・月の地図について
・今後のトピックスについて

第1期中期計画の総括について

4月1日付けで理事長に再任いたしましたので引き続きよろしくお願いいたします。
最初に3月31日に終わりました第1期中期計画の総括を申し上げたいと思います。皆様には4年半に渡り応援いただきありがとうございました。この4年半、最初のスタートは良くはなかったかもしれませんが、H-IIAロケットは9機、M-Vロケットは3機の打ち上げを行いました。1機は残念ながら失敗してしまいましたが、11機の打ち上げには成功し、成功率は92%として終わりました。失敗をよい糧とし取り組んできたつもりです。衛星については、利用開発関係で4機、宇宙科学・探査関係で5機の打ち上げを行い、それぞれ活躍しております。衛星の大きな不具合は無かったと思っております。航空関係は国産旅客機のMRJが事業化されたと発表されましたが、これに対して研究面から協力ができ、技術移転が始まってきています。小型超音速機の飛行実験にも成功し、今後に備えて行きたいと思います。国際宇宙ステーションについては、3月に土井飛行士による船内保管室の組立てが行われ、着実に進んでおります。また、観測ロケットや、気球の実験も行ってきましたが、予定通りの進捗かなと思っております。
経営面については、JAXA発足当初、不具合等がありました関係で、少し手間取りましたが、色々と改革が出来たと思っております。目標の設定としては、JAXAとして統合して何を行うかを明確にすべく、長期ビジョン2025を作りました。また、技術のロードマップも策定いたしました。このロードマップは順次アップデートしていきます。組織改革について、一番大きかったのがチーフエンジニアリングオフィスを作ったこと、信頼性向上のための外部有識者で構成する評価室を作ったことです。S&MA(安全・ミッション保証)、信頼性をいかに高めるかということにも取り組みました。大変よい成果が上がったと思います。また、プロジェクト進捗管理を強化するとともに、プロジェクト経営審査のしくみを新しく始めました。意識改革としては、経営理念を定め、これに基づき3機関が一体化して進めてきました。具体的にはOne JAXA(ワンジャクサ)運動を展開し、それなりに融合が図られつつあるかなと思っております。
以上を総括してみますと、第1期中期計画、統合後最初の第1期としては、まあまあなところで終わったかなと思ってます。もちろん色々と課題は残っておりますので、第2期に片付けて行きたいと思います。


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第2期中期計画について

4月1日から第2期中期計画に入りました。事業につきまして申し上げますと、ロケットはH-IIAシリーズを年間平均3機打ち上げたいと思っています。5年間で15機となると難しい部分もあるかもしれませんが、出来るだけ努力をしたいと思っています。利用関係の衛星については地球環境、災害監視・通信、測位に重点を絞って行こうと思っております。通信分野も、引き続き研究開発を行っていきます。大型アンテナ等については、通信衛星以外の衛星にも活用が可能な技術ですので引き続き研究開発を続けて行きたいと思っています。宇宙科学・宇宙探査の関係では、金星探査、水星探査、あるいは電波天文のようなものを手がけて行きたいと思っています。また、月周回衛星「かぐや」に続く衛星としてセレーネ2の研究開発もしていきたいと思ってます。 また、第2期の5年の期間には、国際宇宙ステーション(ISS)における「きぼう」日本実験棟が完成をして、科学利用実験が始まります。この期間で科学利用実験の成果を出して行きたいと思っております。航空関係は、国産旅客機への貢献とともに、超音速機、次世代運航システムなどの研究開発をしていきたいと思っています。
第2期のスタートにあたり、組織を少し変えました。本部組織が何をやっているかわかりやすいように名前を「ミッション本部」とするよう名称を変更しました。同時に専門技術の融合を計り、プロジェクトとの連携を強化するために、マトリックス体制を取ることとし、総合技術研究本部を改め、新たに研究開発本部を作り、その下に12の専門技術研究グループを配置しました。その専門グループが全てのプロジェクト等への支援を行うと同時にそれぞれの専門の研究開発を進めるという体制にしました。


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「きぼう」日本実験棟第一便の打ち上げについて

国際宇宙ステーション(ISS)計画における「きぼう」日本実験棟の船内保管室が3月11日に打ち上げられ、3月27日には土井宇宙飛行士がミッションを完全に終わらせ、無事に帰還いたしました。無事に日本で初めての宇宙空間における構築物ができたという記念すべき日だと思います。おかげ様で成功裏に終えることができました。


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H-IIBロケット第1段厚肉タンクステージ燃焼試験について

H-IIBロケットの第1段燃焼試験が3月11日から始まりました。私も4月7日に秋田県の田代試験場へ見に行ったのですが、エンジンを2機並べて燃焼しますと大変な音が出て迫力があります。平成21年度に打ち上げるHTVの打ち上げに向けて着々と進めて行きたいと思います。


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産学官関係について

JAXA産学官連携シンポジウムを初めて大阪で開催しました。沢山の企業に参加していただき、宇宙の技術のみでなく、宇宙の成果を活用して民生品に使っていただくという点でも色々な成果が出ているなという印象でした。興味深いところでいうと、宇宙からの観測画像を用いて、洋服のデザインを考えた方がいて、浴衣か和服にすると仰ってました。これは必ずしも宇宙の技術そのものではありませんが、このような新鮮な発想も出てきて、一つの成果であると思っています。宇宙のイメージで製作したという事でして、面白いと感じています。
宇宙オープンラボについては、平成20年度第1回目の選定において、4件を採用しました。このような活動を通じて、これからも宇宙の技術の民生化を図って行きたいと思っております。


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宇宙(そら)のとびらについて

宇宙教育の素材になる宇宙や宇宙につながる旬な情報を、「宇宙(そら)のとびら」として年1冊程度発行しておりますが、よりご理解をいただきやすい冊子に編集しました。国民の皆様のご理解が深まればと願っております。


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記念切手について

日本天文学会より100周年を記念して切手が発行されました。X線天文衛星「すざく」と小惑星探査機「はやぶさ」が取り上げられました。宇宙のことが色々と取り上げられているなと思いました。


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月の地図について

月周回衛星「かぐや」に搭載されたレーザ高度計(LALT)により、月の全球をカバーするデータを取得しました。国立天文台がこのデータを解析し、国土地理院が月の地形図を作成しました。JAXAのホームページにも掲載されているので是非ごらんください。


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今後のトピックスについて

  • 「きぼう」日本実験棟(JEM)第2便の打ち上げ(6月1日@ケネディー宇宙センター)
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  • 筑波宇宙センター一般公開(4月19日)
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  • 増田宇宙通信所(4月20日)
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  • 種子島宇宙センター(4月20日)
  • 調布航空宇宙センター(4月20日)
  • 角田宇宙センター(4月20日)
  • 勝浦宇宙通信所(4月26日)
  • 沖縄宇宙通信所(4月29日)
  • 地球観測センター(5月17日)
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