輸送システムの研究開発と運用 H-IIBロケット

運用終了

H-IIBロケットとは

H-IIBロケット

将来の宇宙ミッションへの扉を開く

H-IIAロケットは、信頼性の高い大型主力ロケットとして、人工衛星・探査機を打ち上げるミッションを支えてきました。H-IIBロケットは、国際宇宙ステーション(ISS)に必要な物資を運ぶ大型輸送手段で、国際的な貢献が国内外に高く評価されています。

H-IIBロケットは「こうのとり」を運ぶ手段として活躍し
2020年5月に打ち上げられた9号機を以て運用を終了しました。

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2026年4月27日 更新

「H-IIA/H-IIBロケット」「こうのとり」「りゅうせい」「きく2号」が「航空宇宙技術遺産」に認定されました

授与式で認定証を受け取るH-IIA/H-IIBロケット関係者(写真提供:日本航空宇宙学会)

授与式で認定証を受け取るH-IIA/H-IIBロケット関係者(写真提供:日本航空宇宙学会)

授与式で認定証を受け取るきく2号関係者(写真提供:日本航空宇宙学会)

授与式で認定証を受け取るきく2号関係者(写真提供:日本航空宇宙学会)

「H-IIA/H-IIBロケット」「こうのとり」「りゅうせい」「きく2号」が、「航空宇宙技術遺産」に認定されました。
認定証授与式は、2026年4月16日(木)に大阪大学豊中キャンパスの大阪大学会館講堂にて開催され、宇宙航空研究開発機構(JAXA)ほか関連企業等に認定証が授与されました。

航空宇宙技術遺産は、我が国の航空宇宙技術発展史を形づくる画期的な製品および技術を顕彰して後世まで伝え、今後の航空宇宙技術の発展に寄与することを目的として、日本航空宇宙学会が認定しています。

認定理由について、認定証には次のように記載されています。

● H-IIA/H-IIBロケット

"H-IIA/H-IIBロケットについて"

"H-IIA/H-IIBロケットは世界トップクラスの打上げ成功率と世界一のオンタイム打上げ率を誇り、品質・信頼性・運用性の高い大型主力ロケットであった。我が国で最多の全59機、かつ約25年にわたる最長の運用を行った。"
"また、2007年、国内初となる民間企業による打上げ輸送サービス開始以降、全ての打上げが成功し、顧客志向のビジネスにも対応できる技術を有するロケットであることが立証された。H-IIA/H-IIBロケットの顧客は世界市場からの受注も含め合計で61に達し、宇宙開発利用における多岐にわたる分野の課題解決やサービスの提供に絶大な貢献をした。"
"H-IIA/H-IIBロケットの開発、および運用で確立した技術は後継機のH3ロケットでさらなる改良がなされ、我が国の基幹ロケット技術の中核をなしており、今後の国際市場拡大に向けて画期的な扉を開いたと言える。"
"以上より、今後の航空宇宙技術や日本の宇宙産業の成長、発展、維持において継承すべき重要な基盤技術を有することから航空宇宙技術遺産に認定する。"

● 宇宙ステーション補給機「こうのとり」(H-II Transfer Vehicle: HTV)

"宇宙ステーション補給機 HTV の有人対応自動ランデブ技術と大型物資輸送技術について"

"宇宙ステーション補給機HTV(H-II Transfer Vehicle)は、国際宇宙ステーション(ISS)への定期補給を目的として開発され、世界で初めて実用レベルの無人自動ランデブおよびバージング方式による接続・係留を実現した画期的な宇宙輸送機である。HTVは、打上げ後からISS近傍までを搭載ソフトウェアにより自律的に誘導・制御し、地上およびクルー操作への依存を最小化した新たな運用方式を確立した。2009年の初号機以降、全9機が連続して成功裏にミッションを完遂し、大型船外機器を含む多様な物資輸送を通じてISSの安定運用に大きく貢献した。その優れたバージング方式は、スペースX社のドラゴン宇宙船やノースロップ・グラマン社のシグナス宇宙船にも採用され、国際的な標準方式となった。これにより、ISSへの大きな貢献にとどまらず、日本の航空宇宙技術の評価を高めることにもつながった。こうした功績が認められ、「宇宙ステーション補給機(HTV)の開発・運用」として、航空宇宙学会の第20回(平成22年度)宇宙賞(技術賞)を受賞している。"

"さらに、有人宇宙システム安全基準に適合した無人輸送機として、日本に高度な安全設計・運用技術をもたらし、後続の宇宙輸送・近傍運用技術、さらには月惑星探査技術の発展に道を拓いた点で、技術的にも歴史的にも大きな意義を有する成果である。"

"以上により、日本の航空宇宙技術の発展において大きな足跡を残すものであるとして、航空宇宙技術遺産に認定する。"

● 軌道再突入実験「りゅうせい」(OREX)

"軌道再突入実験機(OREX)について"

"軌道再突入実験機(OREX)は、HOPE開発のための基礎データを得るために宇宙開発事業団(NASDA)と航空宇宙技術研究所(NAL)によって共同開発された実験機である。平成6年2月4日に種子島宇宙センターからH-IIロケット試験機1号機によって打上げられ、地球を一周したのちに日本で初めて地球周回軌道から大気圏再突入を行い、太平洋上クリスマス島周辺に成功裏に着水した。"
"再突入飛行環境下での空気力および空力加熱、再突入飛行環境下での耐熱構造、再突入時の通信途絶現象、軌道上/再突入時におけるGPS受信機による航法など地上では取得困難な数々の貴重なデータを取得した。また、日本として初めてカーボン/カーボン材やセラミックタイルなど再使用可能な熱防護材技術の実証も果たした。"
"日本における再突入技術の先駆けであり、「軌道再突入実験機の開発と軌道再突入実験の実施」として、航空宇宙学会の第5回(平成7年度)学会賞(技術賞)を受賞している。"
"以上により、日本の航空宇宙技術の発展において大きな足跡を残すものであるとして、航空宇宙技術遺産に認定する。"

● 技術試験衛星II型「きく2号」(ETS-II)

"きく2号による静止衛星技術の確立について"

"技術試験衛星2型「きく2号」は、1977年にN-Iロケット3号機により打ち上げられ、日本で初めて静止軌道への投入および長期安定運用に成功した記念すべき衛星である。トランスファ軌道投入後、限られた追跡機会と厳しい時間制約の中で、アポジモータ噴射、姿勢変更、軌道制御を的確に実施し、日本初かつ世界で3番目となる静止軌道投入に成功した。本衛星により、静止衛星の静止化技術、追跡管制技術、姿勢・軌道制御技術、さらにスピン型静止衛星におけるデスパンアンテナの地球指向制御技術等が我が国で初めて体系的に確立された。これらの成果は、その後の気象・通信・放送分野における国産静止衛星の開発・運用の礎となり、日本が静止軌道上の衛星を自立的に運用するための技術基盤を築いた。"

"以上により、日本の航空宇宙技術の発展において大きな足跡を残すものであるとして、航空宇宙技術遺産に認定する。"

JAXAは、宇宙開発の自在性確保の観点から、輸送技術の維持・発展に取り組んできました。H-IIA/H-IIBロケット、「こうのとり」で培われた技術や運用知見を、新たな基幹ロケットであるH3ロケットや将来の宇宙輸送システム、新型宇宙ステーション補給機HTV-Xへと継承し、安全・確実な宇宙輸送の実現を目指します。そして、過去の技術研究の成果を最大限活かし、再使用型輸送システム等の将来宇宙輸送機の研究を行っていきます。
また、次世代静止通信衛星に必要となるバス技術とミッション技術を実証し、我が国の宇宙産業や科学技術基盤の維持・強化を図るために、技術試験衛星9号機(ETS-9)の開発を行っています。

H-IIAロケット日本の主力基幹ロケットとして開発され、2001年の初打上げ以降、多数の衛星や探査機を宇宙へ送り出してきました。打上げ成功率98%という高い信頼性を持ち、政府・民間を問わず幅広いミッションに対応し、日本の宇宙開発を長年にわたり支えてきたロケットです。2025年、50号機の打上げを最後に退役しました。
関連ページ:H-IIAロケット(宇宙輸送技術部門)

H-IIBロケットH-IIAロケットの打上げ能力を高め、より重いペイロードを打上げるために開発された大型ロケットです。国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給を行う宇宙ステーション補給機「こうのとり」の打上げを通じ、日本の有人宇宙活動と国際協力に貢献しました。2020年5月に打ち上げた、9号機をもって運用を終了しました。
関連ページ:H-IIBロケット(宇宙輸送技術部門)

「こうのとり」(H-II Transfer Vehicle: HTV)日本が開発したISSに補給物資を運ぶための無⼈補給機です。2009年の初号機から2020年の9号機まで全ミッションを完遂し、運用を終了しました。
大型実験装置やISSバッテリを同時に輸送できる能力でISS運用を支え、日本が独自に開発した「キャプチャ・バーシング方式」はISSへの接近方式のスタンダードとなりました。これらの実績はNASAをはじめ各国から高く評価され、日本の宇宙分野におけるプレゼンス向上と次世代技術の獲得に貢献しました。
関連ページ:「こうのとり」(HTV)のこれまでの歩み(有人宇宙技術部門)

軌道再突入実験「りゅうせい」(OREX)H-IIロケット打ち上げ型有翼回収機(HOPE)の研究開発の一環として実施する飛行実験の一つであり、軌道からの大気圏再突入に耐える飛行体の設計・製作技術を蓄積するとともに、地上での試験では取得が困難な再突入時の各種データを取得することにより、HOPEの開発に役立てることを目的として開発されました。
1994年2月にH-IIロケットにより打ち上げられ、地球を一周した後に大気圏に再突入し、この間再突入に関する実験データを取得、送信した後、中部太平洋上に着水しました。本実験は、JAXAの前身航空宇宙技術研究所(NAL)と宇宙開発事業団(NASDA)の共同研究として進められました。
関連ページ:軌道突入実験機「りゅうせい」(OREX)

技術試験衛星II型「きく2号」(ETS-II)静止衛星の打ち上げと追跡管制技術、軌道保持、姿勢保持技術などの習得、通信機器の宇宙環境での機器試験などを行うために打ち上げられ、日本初の静止衛星になりました。「きく2号」の技術は、その後の気象・通信・放送分野における国産静止衛星の開発・運用に活かされ、国内では、気象衛星ひまわり、放送衛星(BSやCS放送)、通信衛星等の開発運用に活用されているほか、取得したデータは世界各国で宇宙通信のための研究に長期間利用されました。

「きく2号」の遺産認定を記念して、筑波宇宙センターにて特別展「The Legacy and The Future: 技術試験衛星、半世紀の軌跡」を開催します。
初代「きく1号」から続く挑戦の歴史を振り返るとともに、次なるステージを担う「ETS-9」の全貌を紹介します。特別展は2026年5月1日から2026年6月12日までとなります。ぜひこの機会にお立ち寄りください。
関連ページ:
技術試験衛星II型「きく2号」(ETS-II)
「The Legacy and The Future: 技術試験衛星、半世紀の軌跡」展 開催のお知らせ(筑波宇宙センター)

打上げ実績

H-IIBロケット主要諸元

コンポーネントの説明

エンジン燃焼試験

H-IIAロケット、H-IIBロケットには、第1段機体にLE-7Aエンジン、
第2段機体にLE-5Bエンジンを搭載しています。

液体酸素・液体水素を推進剤とするこれらのエンジンは、世界のロケットエンジンと比べても小さく、高性能です。

それぞれのエンジンは、ロケットに搭載されるまでに、地上で数々の燃焼試験を繰り返し、その性能・機能を確認します。

パンフレット

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