理事長挨拶・定例会見

平成23年4月
理事長定例記者会見 立川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします。
日時:平成23年4月14日(木) 11:00-11:40
場所:JAXA東京事務所 3Fプレゼンテーションルーム
司会:広報部長 舘 和夫

トピックス

・地震のJAXA事業所への影響
・東日本大震災への対応
・有人宇宙関係
・その他
・タウンミーティング等の開催結果について
・今後の予定について


はじめに、この度の東日本大震災によりお亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災されました皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

地震のJAXA事業所への影響

JAXAは幸いにして人的被害・衛星フライト品等への直接の被害はありませんでしたが、筑波宇宙センターと角田宇宙センターは震度6弱の地震を受け、センター内の建物や設備等で被害が確認されました。筑波宇宙センターでは執務室の天井や壁などが崩落し、各所で配管が断裂するなど、空調系統が損壊しました。また試験のための施設・設備に被害が及び、現在衛星等の試験を中断しています。角田宇宙センターは筑波に比べ建物の被害は少なかったものの、ロケットエンジンの燃焼試験をするための施設が一部壊れ現在点検作業を行っています。
JAXAでは震災後直ちに「災害対策本部」を設置して被害状況の把握を行い、損壊した施設設備の早急な復旧と各試験計画の見直しに取り組んでいます。今年度打ち上げが予定されている水循環変動観測衛星(GCOM-W)及び「こうのとり」3号機(HTV3)、NASAへの観測機器引き渡しが予定されている全球降水観測計画(GPM)などの国際協力に基づく計画は、ぜひ実現させたいと考えています。


関連リンク

東日本大震災への対応

JAXAは人工衛星などを用いた災害支援を開始しました。今後も継続して復興のための支援に取り組んで参ります。

(1)陸域観測技術衛星「だいち」による被災地画像の提供
「だいち」が観測した被災地画像データを災害対応機関に提供しました。(4月5日現在、約70種類)また、センチネルアジアや国際災害チャータなどを通じて、海外の人工衛星画像も提供しています。

(2)人工衛星による衛星通信回線の提供
超高速インターネット衛星「きずな」・技術試験衛星VIII型「きく8号」による被災地(岩手県)への衛星通信回線の提供を開始しました。
(通信状況)
3月20日 岩手県災害対策本部、釜石市現地対策本部で「きずな」による通信を開始。
3月24日 「きずな」の通信回線に大船渡市現地対策本部を加え、3地点を繋いだ通信を開始。大船渡市現地対策本部、同県大槌町現地対策本部兼避難所で「きく8号」による通信を開始(4月10日まで)

(3)実験用航空機による福島第一原子力発電所周辺の放射線量計測の協力
3月25日から4月4日までの間、(財)原子力安全技術センターと協力して実験用航空機(Queen Air/ビーチクラフト式65型)を用いた福島第一原子力発電所周辺上空の放射線量計測を実施しました。(計5回)

(4)職員用宿舎(埼玉県鳩山町)の貸与
埼玉県鳩山町からの要請により、JAXA職員用宿舎を避難者受け入れ用として無償貸与しました。

(5)JAXA COSMODE PROJECT製品による企業からの支援(参考)
(株)ゴールドウインより、被災地(宮城県、福島県)へ「宇宙下着」(12,465枚)が提供されました。またニューメディカ・テック株式会社では、被災地(宮城県仙台市など)からの依頼を受け浄水器(家庭用浄水器「クリスタル・ヴァレー」、災害用浄水機「CVレスキュー」)を用いた給水支援活動を実施しています。


関連リンク

有人宇宙関係

(1)日本実験棟「きぼう」及び「こうのとり」2号機の管制について
筑波宇宙センターでは「きぼう」及び「こうのとり」2号機の管制室が地震による影響を受けたため、一時的に管制運用を米航空宇宙局(NASA)へ移管しました。米国ヒューストンで運用が行われていましたが、筑波の管制室の機能が復旧したため、3月22日からは平常通り筑波での運用が行われています。

(2)「こうのとり」2号機の大気圏突入
3月29日0時46分、「こうのとり」2号機は国際宇宙ステーション(ISS)を離脱しました。3月30日12時9分に大気圏に再突入、その後予定通り南太平洋上に落下しました。 「こうのとり」2号機は、所期の目的であるISSへの物資輸送を完遂し、約67日間にわたる全ミッションを終えました。

(3)ガガーリン打ち上げ50周期記念式典
ガガーリン打ち上げ50周年を記念するロシア政府主催の式典が、4月11日から12日にかけてモスクワで開催されました。12日、メドベージェフ大統領より外国の宇宙飛行士63人に「宇宙開発への功績を称えるメダル」が授与され、日本人として野口宇宙飛行士、若田宇宙飛行士、元TBSの秋山豊寛氏の3名が受賞しました。


関連リンク

その他

(1)JAXAの平成23年度年度計画
水循環変動観測衛星(GCOM-W)、古川宇宙飛行士のISS長期滞在などを盛り込んだJAXAの平成23年度の年度計画を文部科学大臣、総務大臣に提出しました。この計画は東日本大震災前に作成していますので、震災の影響に伴う政府の補正予算や修正等に合わせ適宜見直して行きます。

(2)金星探査機「あかつき」の状況
金星軌道投入失敗の原因究明と軌道再投入の検討状況ですが、計画停電や部品調達の遅れなどの影響で地上試験がやや遅れています。大変申し訳ないのですが、まだ結論が出ていない状況にありますので、早急に部品の調達を行うなどして一日も早い原因究明に尽力いたします。
「あかつき」は4月17日にもっとも太陽に近いところ(近日点)を通過しますが、その際に衛星の表面及び各機器類などの温度が上昇することが懸念されます。対策として近日点通過時に熱の影響が最小となる姿勢をとりますので、温度の上昇があっても各機器類の最大許容温度内に収まると考えています。

(3)小惑星探査機「はやぶさ」帰還カプセル展示
「はやぶさ」帰還カプセルの展示は、3月10日以降「山梨県甲府市」「群馬県富岡市」「神奈川県藤沢市」で開催されました。現在までの来場者総数は46万4221人です。

(4)文部科学大臣表彰
平成23年度科学技術分野の文部科学大臣表彰が決定し、JAXAは「科学技術特別賞」と「科学技術賞」を受賞しました。
(受賞内容)
1. 文部科学大臣表彰科学技術特別賞
 業績名:小惑星探査機「はやぶさ」の地球・小惑星間往復航行と地球帰還技術の確立
 受賞者:川口教授、稲谷教授、國中教授
2. 文部科学大臣表彰科学技術賞
 業績名:軌道上有人施設へのランデブドッキングと補給技術に関する研究
 受賞者:虎野技術参与、佐々木プロジェクトサブマネージャ、山中フライトディレクタ


関連リンク

タウンミーティング等の開催結果について

4月10日に子供歌舞伎曳山会館(富山県砺波市出町)で第61回タウンミーティングを開催し、140名の方に参加いただきました。今年度も計10回のタウンミーティングの開催を予定していますので、皆様奮ってのご参加をお待ちしています。


関連リンク

今後の予定について

  • 4月19日(火)低ソニックブーム設計概念実施プロジェクト第1回試験(D-SEND#1)の実施@エスレンジ実験場(スウェーデン)
  • 小惑星探査機「はやぶさ」帰還カプセルの展示
    4月22日-25日  富山県砺波市
    4月28日-5月1日  岐阜県各務原市
    5月3日-5日  大阪府富田林市
    5月7日-10日  京都府福知山市
    5月13日-17日  埼玉県小鹿野町
    5月19日-23日  埼玉県草加市

関連リンク