・東日本大震災のJAXA事業への影響
・陸域観測技術衛星「だいち」の運用停止について
・小惑星探査機「はやぶさ」帰還カプセル展示
・金星探査機「あかつき」について
・低ソニックブーム※設計概念実証プロジェクト(D−SEND)第1フェーズ試験について
・今後の予定について
地震によるJAXAの被害について、4月26日に復旧計画を定めました。試験環境の整備など直ちに復旧作業を進めることで、水循環変動観測衛星(GCOM−W1)及び宇宙ステーション補給機「こうのとり3号」の打上げ、全球降水観測計画搭載二周波降水レーダ(GPM/DPR)のNASAへの引き渡しの計画について約2ヶ月程度の遅れはあるものの、実施出来る見通しがつきました。また角田宇宙センターにおける被害調査の結果、エンジン試験の工程などの見直しを行い、こちらも約2ヶ月程度の遅れはありますが、実施できる予定です。今後は、予算措置や来年度以降の本格的な復旧計画などについて更に検討を進めます。
「だいち」は4月22日に電力異常が発生し徐々に交信が出来なくなりました。本日5月12日まで交信を試みましたが誠に残念ながら交信不能との判断を行い、午前10時50分に停波作業を実施しました。これをもちまして同衛星の運用は終了となります。「だいち」は5年3ヶ月の運用期間において、地図作成や最近では東日本大震災後の緊急観測を行う等、国内での利用はもちろんのこと、世界各国の政府や関係機関などに対しても、研究用や環境監視、災害観測等で大変多くの観測データを提供してきました。JAXAには、これまでに観測・蓄積した650万シーンものデータがありますので、これらのデータを今後も継続して活用していきます。また速やかに後継機の開発計画を進め、観測の空白期間を出来るだけ少なくしたいと考えています。
※「だいち」の主な実績と成果
平成18年1月24日に打ち上げられ、平成23年4月22日までの5年3ヶ月の運用(設計寿命3年、目標5年)を行い、以下の成果を上げた。
「はやぶさ」帰還カプセル展示の来場者が、5月2日の時点で50万人を越えました( 507,746人 )。引き続き、「はやぶさ」は皆様に高い関心を持っていただいています。
「あかつき」は、4月17日に太陽と最も近い距離(近日点)を飛行しました。搭載する機器類への熱の影響が懸念されましたが、無事に近日点を通過し健全性を保っています。次の近日点通過の際の対処方法の検討や、金星軌道投入失敗の原因究明のための地上試験を引き続き進めます。
5月7日、スウェーデンエスレンジ実験場で低ソニックブームの第1フェーズ1回目の試験を行いました。試験結果は良好で、引き続き2回目を天候状態の良いタイミングで実施する予定です。(5月16日まで)
※ ソニックブームとは超音速飛行時の機体から発せられる衝撃波により、落雷のような爆音を発生する現象。今回の試験では、スウェーデン宇宙公社の協力のもと空中・地上で波形の計測を行う。(計2回)