第四の点に関しては、日本の有人宇宙輸送について触れておかなければなりません。日本には、日本がいつか独自の力で人間を宇宙へ運べるようになるだろうとの期待を抱いている人がいます。またJAXAの内部にも、そのような技術の開発に一生を捧げたいと考えている若者たちがいっぱいいます。この度の発足時には、「なぜ人間を宇宙へ運ぶのか」について、JAXA全体を納得させる説得力が、有人輸送のグループには足りなかったと思います。この点は、「人類の宇宙飛行は歴史の必然」とか「中国がやるから日本も負けられない」などの情緒的な議論だけでは、大きな予算を使う事業としては不十分であることは明らかです。観念論ではない、現実の日本の置かれた厳しい状況に合う論理の組み立てと、基盤となる技術の蓄積を数年の間に準備して、山之内秀一郎さんのような抜群の求心力をお持ちの方が理事長でいらっしゃる間に、ぜひとも捲土重来を期したいと決意しています。その有人派の密かな努力に、乞御期待です。
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