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5.今後の宇宙航空研究開発機構としての取り組み

 これまで述べてきたように、宇宙教育への社会からの要請はますます増加する傾向にある。また宇宙に直接関係する私たちも社会とのつながりをさらに強くしなければならない。これまで少人数の職員、且つ個人の好意に頼ってきた宇宙航空研究開発機構内での教育プログラムは、既にその活動容量を超えつつある。旧宇宙開発事業団、旧宇宙科学研究所、旧航空宇宙技術研究所独自の教育プログラムはそれぞれの本部に任せるとして、機構としてカリキュラムの構築、教材の開発など更なる活動を目指さねばならない。

 このために教育と宇宙開発に情熱を持つ専任の事務職員、研究者、現場の教育者、政府の教育行政担当者などからなる教育センター(仮称)を早急に設立、充実させ、国内の関連学会などと連携しつつ活動を系統的、継続的に行う必要がある。本教育センターの役割としてアジア太平洋地域宇宙機関会議の枠の中で、アジア諸国の宇宙教育の支援も視野にいれておくべきだろう。



6.おわりに
ここにあえて日本の宇宙教育について私論を公にするのは、これまで30年以上にわたって宇宙に携わってきたものとして、宇宙教育は宇宙機関の創立当初から始めるべきであったとの深い反省に基いている。殆どの日本国民の宇宙への認識はいまだそのロマンにとどまっており、宇宙に関する知識、宇宙開発の重要さの理解の程度は、国の宇宙政策に影響を及ぼすには程遠いと認識している。いまのままでは日本の宇宙開発は諸外国に、アジア諸国にさえ大きな遅れをとると嘆息、危惧せざるをえない。私たちは将来の日本は宇宙に関係しなければ国の発展は無いとの強い信念のもと、今宇宙開発の緒についた気持ちで宇宙開発の重要さについて、国民の深い理解を得るべく教育活動を精力的に開始すべきとおもう。まず宇宙の大事さを理解する社会的リーダを育てることが急務である。



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千葉大学にて行なわれた「第2回宇宙ステーション(ISS)教育利用ワークショップ」の様子(2004年8月8日開催)
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