これは、「星の王子さま」の初めの部分にある有名な一節ですね(脚注1)。砂漠に不時着した飛行士は、この言葉で王子さまと出会い、その後、現実とも夢の中とも区別のつかない時空の中で、王子さまと心の交流をすることになります。その交流の中から、飛行士は人間には欠けたものがあることを知るのです。
このサン=テグジュペリの「星の王子さま」は、私の最も好きな本のひとつです。実に不思議な物語で、子供たちが読めばおとぎ話ですし、大人が読めば人間や社会に対する批判の書になります。そして、さらに、この物語が書かれた時代(1942年から1943年)や筆者の兵士としての生き様と重ねてみると、この物語の奥には深いメッセージが隠されているように思えます(脚注2)。
ところで、星の王子さまがなぜ小惑星から来たことになっているのか、以前から不思議でした。小惑星なんて、宇宙の中ではめだたないちっぽけな存在なのですから。どうして、サン=テグジュペリは、星の王子さまの故郷として、小惑星を選んだのでしょうか?