小惑星というと、火星と木星の軌道の間の小惑星帯にある石ころのような天体と思われている方が多いかと思います。確かにその通りです。もちろん、「石ころ」と言っても、大きいものでは直径が900km以上にもなりますが。また、星の王子さまの故郷のような、小さな小惑星も沢山あります。そして、小惑星は太陽系の至る所に存在するということもわかってきました。最果ての惑星である冥王星軌道付近にも沢山の小天体が発見されていますし、地球のすぐそばにも多数の小惑星が飛び交っています。図1に小惑星の分布の様子を示します。
冥王星軌道付近のものはエッジワース・カイパーベルト天体と呼ばれ、太陽系が生まれたときに誕生した「微惑星」の名残りではないかと考えられています。また、地球軌道付近にあるものはNEO(Near Earth Object:地球接近小天体)と呼ばれ、天体の地球衝突の観点(スペースガード)からも注目されているものです。
現時点(2005年初め)で、軌道が算出されている小惑星は27万個余りにものぼります。そのうち、軌道が正確に決定されて確定番号が付いているものが10万個弱です。そして、3100個余りのNEOも発見されています。小惑星は、肉眼ではほとんど見ることができないような目立たない天体なのですが、数の上では太陽系の主役です。図2を見ていただきますと、1801年1月1日に最初の小惑星セレスが発見されてから、年を追うごとに発見される小惑星が増えていく様子が分ります。
小惑星と人類の関わりには、大きく3つの側面があります。まずは、太陽系の起源を探る惑星科学の鍵としての側面、そして地球に衝突して大災害をもたらす究極の脅威としての側面、さらに未来に人類が宇宙で暮らすようになったときに利用する資源としての側面です。小惑星は、宇宙の中ではちっぽけな存在ですが、人類にとってはいろいろな意味で重要なまさに「山椒は小粒でもピリリと辛い」天体なのです。