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宇宙飛行士たちに共通しているのは「リスクは負うものである」という意識です。それと表裏一体になっているのが「リスクを負う選択をしたからには、責任をとらねばならない」という決意です。リスクをともなう選択とは「ビジョン」と同義であり「戦略」につながるものです。責任をとるというのは「結果を出す」ということと同じです。
世界を見渡してみると、有人宇宙活動が曲がり角を迎えているというのは、おそらく事実でしょう。建設と運用に莫大な資金を必要とするISSは、現実問題として各国の宇宙機関に重い負担となってのしかかっています。有人宇宙活動とはいったい何なのか、ISSというミッションの意義はどこにあるのか……。議論を深めた末に出た結論であるなら、私はISSや有人宇宙活動をやめてもいいとさえ思います。既得権益を主張するように、宇宙飛行士が「飛びたいから飛ばせてくれ」と言い張るのはとうてい受け入れられるものではないと思うからです。
しかし今回の会議を通じ、私は人類が宇宙に向かう意義は多くの人に理解され得る、という確信を深めてもいます。そして以下のような共同宣言を掲げました。
「それぞれの国で熟成された文化を、これからの宇宙探検に貢献させること。
宇宙から得られた経験を、世界中の文化として共有すること。
そして地球の自然環境と個々の文化を守り、人類の更なる可能性を生み出す。
宇宙に飛び出す次世代に、その知恵を伝えることを私達の使命といたします」
日本への期待、教育の重要性、宇宙への挑戦、地球を慈しむ心……。いろんな意味がここに込められています。それは同時に、日本の唯一の宇宙機関となったJAXAに寄せられる期待とも言えます。日本も「ビジョン」を持ち「戦略」を打ち立て、それを明確に訴えていくべき時に来ている、との思いを強くした会議でした。 |
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会議に参加した9人の日本人宇宙飛行士(左から土井、星出、向井、若田、秋山、毛利、角野、古川、野口)
関連リンク:
第18回世界宇宙飛行士会議 |
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