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宇宙発の技術をビジネスに

産学官連携部長 石塚 淳

 JAXAが取り組んでいる研究のひとつに「有機廃棄物の再資源化システム」がある。宇宙で培った技術を地上に応用し、環境にやさしいゴミ処理技術として、生ゴミや家畜糞尿など有機廃棄物の再生処理に利用しようという試みである。ゴミ処理と宇宙開発、一見何のつながりもなさそうだが、実は大変密接な関係にある。

 国際宇宙ステーションで人間が活動するために必要な食料、水、酸素は、1人年間11トンに上り、地球からの輸送費だけで数百億円かかるとの試算もある。そこで、人間が生活すると必ず発生する排泄物、炭酸ガス、廃水などの廃棄物を再生処理して、自給自足の環境を作れないだろうかとの着眼から、この研究がスタートした。仮に、必要とする水と酸素が再生できれば、地球から運ぶのは食料だけとなる。JAXAは、有機廃棄物を無機水溶液と炭酸ガスに分解する触媒式酸化技術、再生型吸着剤と逆浸透膜を用いた水再生技術、炭酸ガスからメタンと水を生成する空気再生技術を開発し、特許を取得した。


 宇宙分野の研究開発成果を民生分野の利用に広げ、事業化を目指すことを「スピンオフ」という。研究成果の社会還元が私たちの責務であり、「スピンオフ」は産学官連携活動の重要な任務のひとつである。ESAやNASAなど海外の宇宙機関も「スピンオフ」に力を入れており、耐熱・耐火衣料素材やスポーツ用品をはじめ広範な産業分野で、その開発成果が利用されている。


石塚氏 写真


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国際宇宙ステーション(ISS)















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