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「JAXAとの新たな時代の幕開け」ESAヨーロッパ宇宙機関長官 ジャン‐ジャック・ドルダン
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Q.JAXA設立にどのような成果を期待していますか?

 JAXAが設立されたことで、これまで別々に運営されてきた日本の航空宇宙開発に、一層の相乗効果がもたらされるものと考えています。
 ESAは三種類の基本的な宇宙活動を行っています。まずロケットや人工衛星などの開発。次に欧州版GPSの開発・推進、地球環境のモニターなど、一般の人たちのニーズに応える実用的な活動。3つ目が、太陽系や宇宙の起源を探るなどの科学探査です。これらをすべて同時に行っている宇宙機関は世界の中でも少ないと思います。
 新設されたJAXAも、これまで異なる機関で研究・開発を行ってきた3つの活動をESAと同じようにJAXAという1つの機関で行うことになります。このことが、より効率的な宇宙開発につながっていくのは明らかだと思います。同じ技術、同じ産業ですから、こういった責任を1つの組織が請け負ったほうが効率も高まります。これはまさにESAが歩んできたことと同じです。1つの組織で一貫して運営することによって、国外のパートナーと提携する際にも、JAXAがより強力な存在となっていきます。私は、今後ESAとJAXAが積極的な協力関係を築いていくことを心から願っています。



 
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Q.人々が宇宙探査に興味をもつのは何故だと思いますか?

 現在の宇宙活動には、一般の人たちに役立つものを開発しようという目的があります。人々は地球上での生活向上を求めています。しかしそれは、安全性の確保や経済の発展といったものだけではありません。夢や知識の広がりも求めているのです。ですから、科学技術は若い世代を引きつけるものでなければなりません。
 宇宙開発は、人々に生活の水準や安全、経済面の向上をもたらすだけでなく、若い世代に夢や知識、魅力を与えるべきだと考えています。だからこそ、未知の世界を探る宇宙探査はとても大切なのです。これからも、宇宙探査は若い人だけでなくすべての人々の心を引きつけていくことでしょう。



ジャン‐ジャック・ドルダン
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)長官

ESA戦略局長を経て、2001年にロケット局長、そして2003年7月にESA長官に就任。
ESA以前には、フランス国立航空宇宙技術研究機関で液体燃料ロケットエンジンと微少重力実験の研究に取り組む。この間、スペースラブに搭乗するためのフランス人宇宙飛行士候補に選ばれる。
1973年〜1987年には、フランス国立高等航空宇宙学校の教授として教鞭を取る。また、1998年〜2000年には、宇宙開発事業団(NASDA)評価委員会委員に就任。
現在は、フランス技術アカデミー、国立航空宇宙アカデミーのメンバーである他、国際宇宙飛行士協会副会長も務める。


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