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宇宙のような大きい夢をもって キャスター 小林麻央 キャスターとして活躍する小林麻央さんは、ニュース番組で若田宇宙飛行士の長期滞在ミッションを取材したり、インターネットで宇宙に関連したブログを執筆するなど、宇宙情報を積極的にレポートしています。もともと宇宙初心者だったという小林麻央さんが、取材を通してどんなことを感じ、宇宙にどんな思いを抱くようになったのか、お話をうかがいました。
小林 麻央(こばやし まお)
キャスター
2005年、上智大学文学部心理学科卒業。2003年、フジテレビの情報番組「めざましどようび」のお天気キャスターとしてデビュー。2005年に女優としての活動を本格的に始め、ドラマや映画にも出演するなど幅広く活動する。2006年10月より、日本テレビのニュース番組「NEWS ZERO」のキャスターを務め、現在に至る。近年は、ファッションを通して植樹活動を支援するなど、エコ活動にも積極的に取り組んでいる。
※小林麻央さんは、2017年6月22日に逝去されました。謹んでお悔やみ申し上げます。
宇宙の現場を体験して
Q. 宇宙に関連した取材で印象に残っていることは何でしょうか?

ケネディ宇宙センターにて

ケネディ宇宙センターにて

今年の3月に、若田宇宙飛行士が搭乗するスペースシャトルの打ち上げを取材するために、NASAケネディ宇宙センターに行かせていただいたことが一番印象に残っています。その時は、打ち上げの数時間前に5度目の延期が発表され、打ち上げを見ることができませんでした。でも現場に自分が行って、実際に打ち上がるスペースシャトルの実物を見たり、打ち上げ前の緊張感を体感することができたのが、とても印象に残っています。ケネディ宇宙センターでは、打ち上げ前の「きぼう」日本実験棟の船外パレットや船外実験プラットフォームを近くで見ることもでき、数ヶ月後にそれが宇宙で取り付けられた時は、目の前で見たものが宇宙にあると思うと感慨深いものがありました。
スペースシャトルの打ち上げを見られなかったのはとても残念でしたが、このような度重なる延期を経験したことで、やはり宇宙に人が行くことは簡単なことではないと実感しました。また、何度打ち上げが延期になっても、まったく冷静な対応で次に向けての準備を着々と進めているのを見て、宇宙にかかわる仕事をされている方たちの姿勢にも大変感動しました。人が宇宙へ行くということ、それによって私たちが受ける恩恵、夢や希望といったものの大きさをより強く感じる経験になったと思います。

Q. はじめて宇宙飛行士と話されて、どんな印象を受けましたか?

宇宙飛行士のみなさんは、とても明るくて、何でも受け入れてくれるような大きさを持っていると感じました。私たちが取材で質問することは、何度も聞かれて、何度も答えていることだと思います。きっと繰り返し話をしているにもかかわらず、毎回夢をもって楽しそうに答えてくださるんです。それを聞いていると、地球にいる私たちに夢を与えたい、夢を感じてほしい、希望を持ってほしい、という宇宙飛行士の方たちの強い気持ちが伝わってきました。


宇宙でみんなの心が一つになれる
Q. 取材をされる前と今とでは、宇宙活動に対する意識や印象はどのように変わりましたか?


正直に言いますと、取材をさせていただく前は、宇宙に対してそれほど深く関心を持っていませんでした。今回の仕事をきっかけに、宇宙についていろいろ調べたり、宇宙飛行士の方に会ってお話を聞いたり、ケネディ宇宙センターなど宇宙の現場に直接行かせていただくことで、どんどん宇宙への興味が増していったんです。そして、取材を重ねるうちに、私たちが何気なく生活している日常の中に、宇宙がきっかけで開発されたものがたくさんあるんだということも分かりました。宇宙で生活するために必要なものが、私たちの生活にも、豊かなものを生み出すきっかけを与えてくれているんだと感じるようになりました。
最近は暗いニュースが多いですが、その中で、宇宙のニュースというのは、希望の光を差してくれる明るいものばかりだと思います。普段は国境があって、私たちはこの国で、あなたたちはこの国というふうに分かれていますが、国際宇宙ステーションでは人種や国籍が異なる人たちが集まって一つの仕事を行っています。地上では、違う文化や歴史を持つ人たちが一つになることは容易なことではありませんが、宇宙ではみんなの心が一つになれるんだというのをすごく感じました。

Q. 宇宙をどんなことに利用してほしいと思いますか?

宇宙には、いろいろな可能性があると思います。例えば、宇宙実験によって新しい薬や素材を開発するなど、宇宙を利用することによって、私たちの生活をより便利なものへとすることができるといいですね。しかし私は、そういった物質的な豊かさだけでなく、宇宙は、精神的な豊かさを与えるものでもあってほしいと思います。先ほどもお話しましたが、宇宙は世界の気持ちを一つにできるものだと思うんですね。今は、地球環境問題を地球全体で考えなければならないと言われていますが、なかなか難しくて、すべての国が一つになれないところがあります。そういう中で、宇宙というのは、地球に住むみんなに「一つになろう」という気持ちを芽生えさせてくれる存在であってほしいと思います。また、みんながそう思えるような、宇宙の利用を考えてほしいと思います。
そして、宇宙がそのような存在であり続けるためにも、私たちは、宇宙のニュースをたくさん伝えていかなければなりません。宇宙飛行士の方たちの活躍や彼らを支える方たちの活動を伝えていくこと、それをみなさんに知っていただくことは、とても大切なことだと思います。


宇宙の大きな存在感が好き
Q. 宇宙のどのようなところが好きですか?


大きな存在であるところに魅力を感じます。宇宙を感じ、宇宙の大きさに触れると、自分がいる地球は小さくて、その中にいる自分はさらにもっと小さいということを感じますが、だからこそ、今自分が立っているこの場所がとても愛おしく思えるんですね。宇宙を思うと、自分が今ここにいるんだということを感じるんです。
宇宙へ行った宇宙飛行士の方が、「宇宙は本当に暗黒の世界で、まったく命を許さない厳しさがある。だがその中で、地球には水があり、光があって輝いていて、夜、日本列島を見ると、宝石をちりばめたような美しさがある」とおっしゃっていましたが、それを聞くと、地球というのは本当に素晴らしい存在なんだなあと思います。真っ暗な世界の中で、自分がこうして命をもらい、周りにもたくさんの命があって、豊かに生活しています。その尊さを感じさせてくれるのが宇宙であり、そこが宇宙の魅力だと思います。

Q. 子供のころは、宇宙に対してどのようなイメージや夢をお持ちでしたか?

プラネタリウムがとても好きで、小さい頃によく連れていってもらいました。プラネタリウムで星空を見ると、子供ながらに心がふわっとするような感覚があって、それは今でもよく覚えています。ふとプラネタリウムに行きたいと思うことは、大人になってもありますね。
空を見上げると、自分が思っている悩みがとても小さなことに思えるし、前向きに考えられるようになれる。そして、何も難しいことを考えなくても、その空の向こうには宇宙が広がっているということを、自然と想像できていたように思います。


   
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