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見えない宇宙を見てやろう、これが天文学者としての私のモットーです。見えない宇宙は「宇宙のはて」にあるとは限りません。新しい観測装置を工夫し製作すれば、宇宙のいたるところで見えなかったものが見えてきてバラエティに富むダイナミックな宇宙像が得られるはずです。 私はいま、国立天文台や大学の仲間たちと一緒に、太陽の爆発的活動現象のみなもとを探るための科学衛星「SOLAR-B」を開発・製作しています。鍵となるのは太陽の磁場の可視化です。時々刻々と変化し、ときには突発的に爆発する太陽コロナを、その変動を引き起こしている太陽表面の磁場といっしょに観測することで、理論の力も借りて、太陽コロナを貫通しているが容易には見えてこない磁力線を見てやろうという魂胆です。 これにより、超高温の太陽コロナ(もっと一般的には宇宙・天体プラズマ)の世界を支配する物理過程が解明できます。ひいては太陽活動によって激変する地球周辺の宇宙環境の理解が進み、宇宙利用や人類の宇宙への進出にも役立つ「宇宙天気」予報までもが可能となるでしょう。 「SOLAR-B」衛星には、太陽表面の磁場のベクトルを測定する世界初の可視光望遠鏡と、太陽大気を観測する最新の軟X線望遠鏡、同じく極端紫外線撮像分光装置が搭載されます。 「SOLAR-B」プロジェクトは日・米・英の3ヶ国、及びESA(欧州宇宙機関)が参加する国際共同事業です。いま、2006年初秋の打上げに向けて、衛星の総合試験が最後の追い込み段階に入っています。衛星と搭載望遠鏡の製作担当者と内外の多くの科学者の協力を得て、「見えない宇宙を見る」夢を実現させる決意です。 関連ページ >> ![]()
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