JAXAプロジェクトマネージャーが語る「私たちのミッション2006」
宇宙科学研究

大気球観測センター
山上 隆正
宇宙科学研究本部の大気球観測センターは、大気球を用いた宇宙科学観測および宇宙工学実験を行っています。大気球を放球する場所は、リアス式海岸で有名な風向優美な岩手県大船渡市三陸町にあります。

大気球は、数百〜数トンの観測器をジェット旅客機の飛んでいる3〜5倍の高度(30km〜50km)まで飛翔することができるため、空気に妨げられて地上では観測できない紫外線、赤外線、X線、ガンマ線、宇宙線などを観測しています。また、地球環境問題となっているオゾンホール、酸性雨、地球温暖化についても直接的に原因物質を測定することで精密な年変化の様子を観測でき、地球および生活環境の安全の一翼を担っています。 大気球は、人工衛星やロケットに比べて観測高度では劣りますが、安価でロケットに比べてはるかに長い数十〜数百時間の観測を行うことができ、観測器の重量、容量なども自由に設計できるため、最新の技術で作られた観測器で観測することができます。

また、観測器は完全回収され、再使用が可能なため再現性の良い観測を行うことができます。また、宇宙工学実験では、人工衛星で用いられる新しい技術の検証実験を始めとして次世代気球の開発実験を行っています。大気球は、対流圏、成層圏、中間圏までの幅広い領域での実験が可能です。

大気球観測センターでは、気球として世界で最も高い到達高度53kmの世界記録を持っています。将来、宇宙気象解明のための高度60km以上を飛翔できる気球、100日を超える飛翔ができる気球での世界一周、また、惑星空間で飛翔できる気球の開発を夢見て研究に取り組んでいます。

関連ページ >>


<< 戻る 次へ >>