
きく8号(ETS-VIII)は、大型アンテナでありながら鏡面の精度を高く持たなければならないという、きわめて高い技術レベルを要求するプロジェクトです。そのため、世界で大型アンテナの設計・製造技術を持つ国は、たった2国(日本、米国)しかありません。このように技術の最先端のプロジェクトに参加している以上は、より優れたものを絶対に自分が一番乗りで成功させてみせるんだという強い意思を持って臨んでいます。
このプロジェクトで一番やりがいを感じる部分は「成功すれば確実に技術が進歩する」というところです。常にその時点での技術的な限界点と戦いながら、通信衛星の次の世代を切り開き、少しでも良いサービスを実現するために日々チャレンジを繰り返しています。
また、きく6号(ETS-VI)から通信衛星に携わってきた経験から、私は「通信は国の神経である」という持論を持っています。情報が的確に伝わるということ、通信インフラをしっかりさせることは、防災や社会安全の面からも日本にとって非常に重要なことなのです。
冷静な判断力と同時に、未知の技術にチャレンジする強い精神力が求められる難しいプロジェクトですが、人々が安心して暮らせる社会を実現するために精一杯頑張ろうと思っています。