21世紀の月探査時代の幕開けを飾る月周回衛星「かぐや」の打上げが迫ってきました。今年夏の打上げを目指して、準備作業が種子島宇宙センターで進められています。
1960年代から1970年代にかけて多くの探査機が月に送られました。
代表的な例がアポロ計画です。しかしながら、この時代は冷戦の最中で、月探査は、人間を月へ送る競争として行われました。このため、月は約45億年前に形成されたことなどが判りましたが、月がどのようにして形成され、その後どのように変遷して現在に至ったか(月の起源と進化と称される)については、謎のまま残されてきました。
セレーネ計画では、搭載される14の科学観測機器により、月全域にわたる元素・鉱物分布、地形・表層構造、表裏の重力分布などについて高精度なデータを取得し、月の起源と進化の謎の核心に迫ります。
2007年から2008年にかけて打上げられる予定の中国及びインドの月周回衛星も月の起源と進化の解明を目指すミッションですが、かぐやは米、欧を始め世界の研究者から最も優れた科学ミッションとして評価されています。
一方、米国は、月資源を利用した有人月探査活動を2020年頃から展開する計画を立てています。この事前調査として、極域の氷分布などを取得する月周回衛星を2008年に打上げる予定ですが、かぐやのデータも活用されます。従って、かぐやは、月における有人活動にも大きな貢献を果たすことになります。
なお、かぐやには、ハイビジョンカメラも搭載されています。青く美しい地球が月面上から現れる「地球の出」を動画で撮像し、月周回軌道から皆様にお届けします。