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概要

金星の概要

金星の基本情報
  • 太陽からの平均距離:1億820万km
  • 大きさ(赤道半径):6,052km
  • 質量(地球に対して):0.815倍
  • 平均密度:5.24g/cm³
  • 公転周期:224.7日
  • 自転周期:243.02日

画像:探査機「マゼラン」が明らかにした金星表面の様子 © NASA/JPL



地球にいちばん似た惑星、金星
金星は地球のすぐ内側を回る惑星で、地球に最も近づく惑星でもあります。直径は地球の0.95倍、重さは地球の0.82倍と、大きさ・重さとも、地球とよく似ています。その内部構造も地球とほぼ同じであると考えられています。地表から深さ約30kmまでケイ酸塩からなる地殻があり、その下にはケイ酸塩からなるマントルが広がっています。中心には金属の鉄・ニッケルからなる核があります。

厚い雲に覆われている金星
金星には非常に厚い大気があり、そのほとんどが二酸化炭素です。そのため二酸化炭素の強い温室効果がはたらき、金星の表面の温度は昼も夜も摂氏460度と、太陽により近い水星よりも高くなっています。大気中には硫酸の粒でできた雲が何kmもの厚さで広がっており、その雲にさえぎられて太陽からの光が直接地表に届くことはありません。雲からは硫酸の雨も降りますが、地表があまりにも高温なため、地表に達する前に蒸発してしまいます。金星の大気の上層では、秒速100mもの風が吹いていて、金星をたったの100時間弱で1周してしまいます。この強風を「スーパーローテーション」と呼びますが、自転周期が非常に遅いのにもかかわらず、なぜこのような強風が吹いているのかは明らかになっていません。

謎の自転方向
金星は公転周期が約225日、自転周期が約243日と、自転周期のほうが長くなっています。また、自転の方向が他の7つの惑星とは反対向きで、金星では太陽は西から昇り東に沈みます(厚い雲のせいで中からは見ることはできませんが)。なぜ金星だけこのような向きで自転しているのかは明らかになっていません。

満ち欠けを起こす金星
金星は、地球からは太陽の近くに見えるので、夕方か明けの空にあります。夜中に見えることはありません。いちばん明るいときはマイナス4等級にもなり、「宵の明星」、「明けの明星」と呼ばれます。月のように満ち欠けを起こす金星は、地球のすぐ内側を回っているため、遠いときと近いときで地球からの距離が大きくちがい、そのため大きさや形が変化して見えるのです。

海外の金星探査
今から約50年前の1961年、旧ソビエト連邦が打ち上げたベネラ1号が金星探査の始まりです。アメリカでも翌1962年にマリナー2号を打ち上げるなど、冷戦下、ソ連とアメリカが競うように宇宙開発を進めていた時代でした。その後も、パイオニア・ビーナス(1978年〜1992年、アメリカ)やベガ1・2号(1984年、ソ連)、マゼラン(1989年、アメリカ)などが探査を行いました。近年では、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)が2005年11月に打ち上げたビーナス・エクスプレス(Venus Express)が、2006年4月に金星周回軌道(極軌道)に投入されました。ビーナス・エクスプレスは現在も金星周回軌道上から、リモートセンシングによって主に大気組成の観測や、金星周辺に広がる電離大気を調査しています。