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今いる場所・時間がわかる測位とは

遠い宇宙から地球上の場所がわかる
衛星測位によって得られるのは、自分の位置(x,y,z)と時刻の情報です。衛星測位とは、4つの衛星からの電波を受信して、受信機と人工衛星との距離を測定、この測距データをもとに位置と時刻を計算します。

まず、それぞれの衛星からの信号を受信して、人工衛星から出た電波がユーザの持つ受信機のアンテナに届くまでの時間を計ります。人工衛星から送信した信号には、送信した時刻の情報が入っているので、自分のところに着いた時刻との“差”が届くまでの“時間”となります。この時間を「電波伝播時間」といいます。この“電波伝播時間”に“電波の速度(光の速度=299,792,458m/秒)”をかけて、人工衛星と受信機アンテナとの“距離”を求めます。

人工衛星との距離 = 電波伝播時間 × 電波の速度

一機の人工衛星との距離を求めただけでは、今自分がいる位置を特定することはできません。そこで人工衛星が4機必要になります。まず自分と4機の人工衛星との距離をそれぞれ計算し、4つの距離を求めます。すると4つの距離が一つに交わる点が出てきます(図1)。これが衛星測位によって求められる、今自分がいる位置ということになります。


図1

※地上の受信機に内蔵されている時計が正確であれば、3つの人工衛星で自分の位置を特定できますが、受信機の時計はわずかに誤差があるので、正確な時刻を求めるためにはさらにもう1機の人工衛星の情報が必要です。



衛星測位の原理


人工衛星に載る世界一正確な時計
衛星測位だけに限らず、測位を行う上で最も重要といわれているものは、「正確な時刻」です。ユーザは人工衛星から電波が発せられた時刻を“正しい”として自分の位置を計算します。電波は、1秒間に約30万キロも進むので、わずか1マイクロ秒(100万分の1秒)の時刻のずれが、300mもの測距誤差となってしまいます。

逆にいうと、ユーザの位置が300mの精度で得られるということは、ほぼ1マイクロ秒の精度で正確な時刻が得られるということになります。カーナビを使っている人も、測位計算を行うと位置と同時に正確な時刻も得られることを意外と知らないかもしれません。GPSの利用は位置を知るだけでなく、多くの地点で正確な時刻同期が必要な、地震の震源地の精密な観測などにも大変有効です。

GPSには、セシウム原子時計およびルビジウム原子時計が搭載されています。これらの原子時計の誤差は、30万年に1秒以下とも言われていています。
準天頂衛星にもルビジウム原子時計が2台搭載されます。