宇宙開発歴36年。妻と旧街道を歩くのが趣味の62歳の団塊的老兵。2008年4月に非常勤職員として準天頂衛星プロジェクトチームに入れていただき、早2年半、今や打ち上げを間近に控える今日この頃となりました。
私自身、準天頂衛星プロジェクトが国のプロジェクトになる前の2002年〜2005年頃、通信・放送・測位複合サービスを目指し複数の民間企業が共同で創設した新衛星ビジネス株式会社(ASBC)の初期メンバとして、準天頂衛星システムとその利用のコンセプトスタディをしたのが縁の始まりでした。
2002年11月1日、新会社の発足式で、準天頂衛星システム実現を目指したハイテンションな気持ちをしたため、
『 おもしろき こともなき世を おもしろく
縁(えにし)の夢は天の頂き 』
なる句を自己紹介で披露した記憶があります。
上の句には、皆さんご存じの高杉晋作の辞世の句を拝借し、当時、停滞気味の宇宙開発へのチャレンジ精神を、下の句には、本来の「住みなすものは心なりけり」に変えて、「縁があって、この新会社に集った我々の夢はトップレベルの準天頂衛星を実現することだ…。」との意思を込めて、作りました。この時の気持ちはJAXAにいる今でも全く変わりません。
膨大な時間と経費を費やした欧米の諸先輩の測位衛星システム技術のレベルに追いつき追い越せたんでしょうかね? 正直「みちびき」の出来栄えは、良い勝負になっていると思いますよ。
旧街道を歩いていると、人々の安全な旅のために立てられた様々な道しるべ(道標、一里塚、常夜灯、道祖神、庚申塚など)に出会います。苔むした道しるべを眺めながら、それを立てた人々に思いを馳せると、自然と、敬意と感謝の念が湧いてくるものです。
準天頂衛星を成功させて、現代の「道しるべ」の一つになりたいものです。
[2010年9月6日 更新]