プレスリリース

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国際宇宙ステーション搭乗日本人宇宙飛行士の
搭乗運用技術者(ミッションスペシャリスト)候補者訓練への
派遣について(報告)

平成16年6月16日

宇宙航空研究開発機構

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。


1. 概要

 従来の3名の搭乗運用技術者(ミッションスペシャリスト MS:Mission Specialist) (土井、若田、野口/参考2 参照)に加えて、ISS搭乗宇宙飛行士3名(古川、星出、山崎(角野))にMS資格を取得させ、スペースシャトルを用いたJAXA開発要素(JEM等)の組立フライト(合計5便)に対応し得るJAXA宇宙飛行士体制の強化を図る。(表1参照)
 これにより、JAXA開発要素(JEM等)の組立の成功を確実なものとし、日本の開発責任を果す。またスペースシャトル飛行およびISS長期滞在の両ミッションに対応し得るJAXA宇宙飛行士を養成し、ISS計画における国際貢献の拡大を図る。

表1 JAXA開発要素(JEM等)の組立フライト
組立フライト打上げ要素
1J/Aフライト JEM/補給部与圧区(船内保管室)
1Jフライト JEM /与圧部(船内実験室)
2J/Aフライト JEM /曝露部(船外実験プラットフォーム)、JEM補給部曝露区(船外パレット)
LSGフライト セントリフュージ/生命科学グローブボックス
CAM/CRフライト セントリフュージ/重力発生装置搭載モジュール(含む重力発生装置)
コロンビア号事故の影響で、打上げスケジュールは現在検討中

2. 訓練計画の概要

  1. 訓練期間
    平成16年6月〜平成17年12月


  2. 訓練実施場所
    NASAジョンソン宇宙センター(主訓練場所)
    米国ペンサコーラ海軍飛行場(T-34C練習機を用いた操縦導入訓練) 他


  3. 派遣宇宙飛行士
    古川聡、星出彰彦、山崎(角野)直子


  4. 主な訓練内容
    スペースシャトル・システム訓練、 T-34C練習機を用いた操縦導入訓練、T-38ジェット練習機操縦訓練、微小重力環境適応訓練、自然科学分野訓練、野外リーダーシップ訓練などを行う。 (表2参照)


表2 搭乗運用技術者(ミッションスペシャリスト)候補者訓練の主な訓練内容
訓練項目(実施時期) 訓練内容
T-34C練習機を用いた操縦導入訓練
(2004年6月〜7月)
T-38ジェット練習機の操縦経験のない搭乗運用技術者候補者のための操縦導入訓練
ファミリアライゼーション訓練
(2004年8月)
オリエンテーション、メディア対応訓練、報告技量向上訓練、サバイバル訓練 (参考1 写真参照)
T-38ジェット練習機操縦訓練 (参考1 写真参照)
(2004年8月〜10月:基礎操縦訓練)
(2004年10月〜2005年12月:操縦訓練)
ジェット練習機操縦中のストレス下で、複数のタスク(通信、計器チェック、操舵など)を同時に行う技量訓練
スペースシャトル・システム訓練(参考1 写真参照)
(2004年10月〜2005年12月)
スペースシャトルのシステム運用、緊急対処、ロボットアーム操作訓練等
微小重力環境適応訓練
(2004年11月〜12月)
航空機(KC-135)の弾道飛行による微小重力環境適応訓練
自然科学分野訓練
(2004年11月〜12月)
生命科学、天文学、材料工学、海洋学等に関する一般教養レベルの講義
野外リーダーシップ訓練
(2005年6月)
リーダシップ技量向上とチーム作業の強化を図るための集団訓練
NASA施設調査
(2004年9月、10月、11月、12月、2005年1月)
NASAの各施設の現地調査
(ケネディ宇宙センター、エイムズ研究センター、ジェット推進研究所など)


3. 訓練派遣における役割分担等

  1. MS候補者訓練に先行して実施したロシアでのソユーズ訓練が完了し、その訓練成果が所期の目的を達成していることを確認した。
    また今回のMS候補者訓練に向けての準備がほぼ整い、訓練実施へ移行できると判断した。(平成16年6月2日、JAXA有人宇宙環境利用プログラム会議)


  2. NASA-JAXA間の役割分担を確認し、実施体制を構築した。

    MS候補者訓練は、従来どおりNASAが実施する。JAXAは、適宜訓練状況を確認する。また、訓練実績は、半年毎に、NASA(宇宙飛行士室長)-JAXA(有人宇宙技術部長)間で評価する。
    なお、若田宇宙飛行士がJAXA飛行士側窓口(NASA-JAXA間の連絡及び報告役)に任命された。
    MS候補者訓練に係る安全管理は、従来どおりNASAが行う。JAXAは、訓練開始前及び訓練実施中に、NASA安全管理の実施状況を確認する。
    訓練中のNASAとの現地連絡・調整(緊急時の初動対応等)をJAXAヒューストン駐在員事務所が行う。


  3. NASAとのMS候補者訓練契約を、平成16年6月8日に締結した。



参考1 搭乗運用技術者(ミッションスペシャリスト)候補者訓練の実施イメージ


既にMS候補者訓練を完了したJAXA宇宙飛行士の訓練写真から抜粋( 提供 NASA / JAXA )

参考2 搭乗運用技術者(ミッションスペシャリスト)候補者訓練の実績
宇宙飛行士(訓練実施時期) 訓練開始 訓練終了 搭乗ミッション
若田(14期生) 1992年8月 1993年8月 STS-72
(1996年1月)、
STS-92
(2000年10月)
土井(15期生) 1995年3月 1996年5月 STS-87
(1997年11月)
毛利(16期生) 1996年8月 1998年4月 STS-99
(2000年2月)
野口(16期生) 1996年8月 1998年4月 STS-114
(2005年3月以降予定)


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