プレスリリース

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月周回衛星「かぐや(SELENE)」のハイビジョンカメラ(HDTV)による
「満地球の出」撮影について

平成20年10月9日

宇宙航空研究開発機構
日本放送協会

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)および日本放送協会(NHK)は、平成20年9月30日(日本時間、以下同様)に高度約100kmの月周回観測軌道上の月周回衛星「かぐや(SELENE)」からハイビジョンカメラ(HDTV)による「満地球の出」(注1)の動画を撮影しました。

 地球全体が月から昇るように見える「満地球の出」の撮影は、「かぐや」が平成20年4月6日に撮影した動画に次いで今回で2回目です。なお、「かぐや」からハイビジョンカメラにより満地球を撮影できるタイミングは、月、地球、太陽と「かぐや」の軌道が一直線という位置関係に並ぶ年に2回しかない貴重なものです。

 撮影は、「かぐや(SELENE)」に搭載されたNHK開発の宇宙仕様のハイビジョンカメラ(HDTV)によって行われたものです。「かぐや(SELENE)」で撮影した動画をJAXAにて受信し、その後、NHKにおいてデータ処理を行いました。

(注1)今回、「満地球の出」という表現を使っていますが、これは月周回衛星「かぐや(SELENE)」やアポロ有人宇宙船のように月のまわりを回る衛星で見られる現象です。月面上に立つ人間からは地球は絶えずほぼ同じ位置に見え、地球が地平線から昇ってくるような「満地球の出」を見ることはできません。

ハイビジョン望遠カメラによる映像「満地球の出」 (解像度:480X270px)
ハイビジョン広角カメラによる映像「満地球の入り」 (解像度:480X270px)
ハイビジョンカメラによる映像「満地球の出・入り」(解像度:1280x720px)

※1280x720の高解像度動画をご覧になる際は、
専用のソフトウェア(Windows®XP、Windows Vista®用)のインストールが必要です。
※多くの方が同時にアクセスされると、動画が再生されないことがあります。あらかじめご了承ください。


ハイビジョンカメラ(望遠)による「満地球の出」の撮影画像

 月面は北緯74度以上の月の表側の北極付近で、地球の右下にはオーストラリア、中央から左側にはユーラシア大陸からヨーロッパ、アラビア半島が見えています。
 今回撮影した「満地球の出」は、日本を含むユーラシア大陸からヨーロッパ・アフリカを含む地域が撮影範囲に含まれていました。ユーラシア大陸、オーストラリアをはっきり見ることができますが、日本には秋雨前線と台風の雲がかかり、はっきりと見ることができません。
 また、今回は、月面の北極から地球の北半球を上にして月面上空の「かぐや」から撮影されています。


ハイビジョンカメラ(望遠)による「満地球の出」の撮影画像

 月の地平線に地球が昇る様子を示したものです。左端の画像から地球が昇る右端の画像まで約40秒かかっています。
※上記の画像は、動画の一部を静止画像として切り出したものです。


図1 満地球の撮影タイミングの説明

※地球の公転の向きが逆になっていたため、図の緑矢印の向きを修正しました。(2008年10月20日)

 この図は太陽を中心に置き、地球、月、「かぐや」の位置関係を北極側から見たものです。黒矢印は「かぐや」の月を回る衛星軌道、赤矢印は「かぐや」の進行方向、および緑矢印は太陽を回る地球の公転方向を示しています。


図2 ハイビジョンカメラ(HDTV)の取付位置