宇宙航空研究開発機構
東京都小笠原村
宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)と東京都小笠原村(以下、小笠原村)は、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)を使用し、デジタル・デバイド(情報格差)地域である小笠原村の村民を対象としたブロードバンド・インターネット通信実験を実施し、成功しましたので、お知らせいたします。
本実験は、JAXAと小笠原村との共同研究プロジェクトである「小笠原村でのインターネットブロードバンド環境実証実験」の一環として行ったものです。実験では、小笠原村の既存の通信回線を「きずな」のブロードバンド通信回線に切替えて、小笠原村の村民に利用していただき、その通信環境・利用効果について検証しました。この結果、利用者からは通信の高速化に対する期待もうかがわれ、小笠原村の将来のブロードバンド化に向けて、事前に有効性を確認することができました。
1.実験結果
(1)実施日:平成21年11月15日(日)〜平成21年11月24日(火)
(2)実施場所(対象):東京都小笠原村(父島)の村民 (人口:2,031人/世帯数:1,101(H21.9.1現在))
(3)結果概要
「通信実験概要図」に示す通信回線構成で、筑波宇宙センター(茨城県つくば市)と小笠原村を「きずな」衛星で接続し、小笠原村の利用者にブロードバンド・ネットワーク環境を利用してもらいました。結果として、通信回線の伝送速度は最大で、約86Mbpsを達成することが出来ました。この速度は、小笠原村の既存回線の公称値と比較し、約9倍もの高速回線となります。既存回線の実測値(約1.7Mbps)と比較では、50倍以上もの回線速度を達成しました。
小笠原村の利用者からは、“グーグルマップやYouTubeでは明らかな違いを体感できた。断然速い。”、“夢だと思っていたブロードバンドがもうそこまで来ている。”、“ずっと実験していてもらいたい。”と言った声が届きました。
なお、11月18日に地上装置の影響で回線が一時的に切れましたが、装置交換により復旧しました。この間、既存の回線へ即時に切り替えたため、小笠原村と本土との通信の遮断はありませんでした。
(4)今後の展開
実証実験の成功を受け、インターネットや携帯電話の事業者との実証実験を今後、視野に入れた検討を実施する予定です。