プレスリリース

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小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」の
二台目の分離カメラの撮影成功について

平成22年6月28日

宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成22年5月21日(日本標準時、以下同様)に種子島宇宙センターから打ち上げられたIKAROSの運用において、6月19日に二台目の分離カメラ※1による、展開後のセイル全景の撮影を行い、その後数日かけてデータの伝送・確認を行いました。
 その際、工学ミッション機器である液晶デバイス※2の動作状況も、撮影された画像で確認出来ましたのであわせてお知らせいたします。
 継続して、薄膜太陽電池による発電の状態を計測し、光子圧を用いた加速及びそれによる軌道制御を世界で初めて実証し、ソーラーセイルによる航行技術の獲得を目指します。

※1 分離カメラは直径約6cm高さ約6cmの円柱形状で、バネにより本体から放出され、撮影した画像を無線で本体に送ります。一度放出すれば二度と本体に戻ることはありません。今回分離したのは分離カメラ1で、前回分離したのは分離カメラ2です。
撮影のイメージについては下記CGを参照下さい。
http://www.jaxa.jp/countdown/f17/overview/ikaros_j.html

※2 液晶デバイスとは,通電することで表面の反射特性が変わる薄膜デバイスで、燃料を用いずに太陽光圧のみを利用してセイルの姿勢制御を行うための実験機器です。


分離カメラ1からの映像1




分離カメラ1からの映像2
(液晶デバイス動作状況※3)

※3 通電状態(ON状態)では太陽光が鏡面反射し、非通電状態(OFF状態)では拡散反射するため、OFF状態の方が白く写ります。今後実施予定の姿勢制御実験では、セイルのスピンに同期してON/OFFを切り替える制御を行いますが、今回の分離カメラ実験では、 画像で識別できるように、ON状態のデバイスとOFF状態のデバイスが交互に並ぶように通電して撮影しています。光のかげんもあり、AとA、BとB、CとCのそれぞれを比較すると、ON・OFFの状態が分かり易いです。

液晶デバイス実験概念図


イカロス膜面の模式図