プレスリリース

宇宙科学研究所 このプレスリリースは宇宙科学研究所(ISAS)が発行しました

M-34-3TVC真空燃焼試験


平成13年9月25日更新
宇宙科学研究所

プレスリリース

宇宙科学研究所 このプレスリリースは宇宙科学研究所(ISAS)が発行しました

M-14-3TVC大気燃焼試験


平成13年12月14日
宇宙科学研究所
>>>>>動画(MOV 908KB)

M-14-3TVC大気燃焼試験発表文

平成13年12月12日
文部科学省宇宙科学研究所能代ロケット実験班

 M-V型ロケットの信頼性向上のために計画された本試験は、第1段モータM-14の推進系および推力方向制御システムの機能および性能の最終確認を目的として、宇宙科学研究所能代ロケット実験場において平成13年12月12日午前10時30分、点火により行われました。
 供試モータM-14-3TVCは、グラファイト材にかわる3次元織りカーボン・カーボン材製のノズルスロートを装着した飛翔型のモータで、直径2.5m、全長約13.7m、全重量約83トンの大型固体ロケットモータでした。
 モータの着火および燃焼は正常・安定で、予想通りの燃焼特性を示し、推力方向制御装置の機能も良好でした。試験手順の進行は順調で、主推力、点火器圧・モータ内圧、ノズル、ケースなどモータ各部の温度・歪・振動、ノズル偏向角などの推力方向制御装置関係諸量、燃焼ガスによる電波信号減衰率など、合計95点の計測項目の良質な測定データと良好な光学記録が取得されました。液化炭酸ガスのケース内噴射による後燃え防止装置も機能し、燃焼終了後の耐・断熱材の焼損状態をよく保存することができました。
現在までに得られている代表的な計測結果は、

最大推力 3.28MN(約335トン)
最大内圧 5.12MPa(約50.2気圧)
全燃焼時間 約90秒
ノズル最大偏向角 3.0度
です。

 本日の天候は曇り、気圧1029.6ヘクトパスカル,気温摂氏6.0度,北北西の風9.0メートル毎秒でした。
 本燃焼試験の実施にあたり関係諸機関ならびに浜浅内地区をはじめとする地元の方々のご協力に深甚の謝意を表します。





組立塔の中で組み立てられ水平に倒す作業中のM-14モータ(10月15日 能代ロケット実験場)


 M-14-3TVC燃焼試験は、宇宙科学研究所の新型主力ロケットであるM-V型ロケットの第1段M-14モータの3回目の実機大モータによる大気燃焼試験です。M-V型ロケットは1号機で電波天文衛星「はるか」を、3号機で火星探査機「のぞみ」を打ち上げてきました。しかし、4号機ではノズルスロート部分のグラファイト製部材の不具合によって十分な速度を得ることが出来ず、科学衛星の打ち上げに失敗してしまいました。このため主推進系モータはすべてノズルスロート部材をグラファイトから3次元織りカーボン・.カーボン・コンポジット(3D-C/C)材に変更することになりました。
 今回の試験は、すでに行なわれた1/7サイズモータによる3回の燃焼試験の結果を反映して設計・製作された実機仕様の3D-C/C製試作品を飛翔型モータのノズルに装着して行う試験で、ノズルスロートをグラファイト材から3D-C/C材に変更したことによるスロートインサートの焼損特性、モータの燃焼・推進性能への影響を確認することが主目的です。

 燃焼試験に使われるモータは長さ約13.7m、最大径2.61m、全重量約83トンの国内最大の固体ロケットモータです。
 今回の試験の結果は来年度に予定されているM-V-5号機(小惑星探査機MUSES-C打ち上げ)の飛翔型モータのノズルの設計に直接反映されます。



 燃焼試験は、平成13年11月22日〜12月13日の実験期間中に宇宙科学研究所能代ロケット実験場の大気燃焼試験棟内テストスタンドを利用し、大気燃焼の条件で行います。

M-14-3TVC大気燃焼試験概要(PDF 2.5MB)


ISAS プレスリリースアーカイブスへ

2001年9月22日(土)10:30 点火

>>>>>動画(MOV 288KB)

 電波天文衛星「はるか」、火星探査機「のぞみ」と成功裏に打上げを重ねた宇宙科学研究所の衛星打上げ用のM-V型ロケットは、2000年2月の第4号機の打上げで、思いがけない不具合が発生し、その後、信頼性の回復に努めてきました。問題の起きた部位であるノズル・スロートインサートの材料を、グラファイトから3D-C/Cに変更することに関しては、すでに今年7月のM-25モータ地上燃焼試験で、対策の有効性と妥当性を確認しており、第5号機の打上げに向けて順調にスケジュールを刻んでいます。
 今回燃焼試験を行ったM-34モータは、M-V-1号機の打上げ前にすでに2回の燃焼試験を済ませており、上述の2つの科学衛星の打上げに用いられた実績を持っています。現在の飛翔型M-34モータは、第2号機打上げの時に設計が微調整されており、平行部を延長して推進薬量の増強をはかったものです。今回の第3回地上燃焼試験では、この改修型のモータの推進性能の確認を行うことも、目的の1つとなっています。
 M-V-5号機は、第20号科学衛星MUSES-C(小惑星探査機)を搭載して、2002年11月末から12月の期間に打ち上げられる予定です。


M-34-3TVC大気燃焼実験発表文

平成13年 9月22日
 文部科学省宇宙科学研究所
ロケット実験班

 M-V 型ロケット第3段のノズルスロート材料更新に関わる機能確認を主目的として実施された本実験は,平成13年9月22日,日本標準時午前10時30分点火により実施された。
 試験に用いられた M-34-3TVCモータは,飛翔型 M-34b モータのノズルスロート(喉部)材料を,従前のグラファイト材から3次元C/C材に置き換えたもので,中高度真空燃焼試験設備に合致させるべく,ノズル長を開口比36位置にて切断した,全長3.2m,最大直径 2.2m,推進薬量10.8トンの略球形ロケットモータである。
 宇宙科学研究所では,昨年のM-V第4号機による衛星打ち上げ時に,第1段M-14モータにおいてノズルスロート材に破損事故が発生したため,M-V型ロケット全段モータの同部位材料を,より信頼性の高い3次元C/C材料に交換するべく一連の地上燃焼試験を進めてきたところである。
 今回の燃焼試験は,本年7月の第2段モータM-25-1TVCに続くもので,第3段モータ同部位材料の対熱衝撃荷重の技術的妥当性などを確認することを主目的としている。M-V型ロケット第3段モータの地上燃焼試験は,開発期に2回実施されているが,第3号機飛翔前に能力の改良をはかるため,モータ平行部が延伸されて推進薬量の増量が行われているため,この形態での地上燃焼試験としては初の試験であり,その推進性能を2回の飛翔結果と比較確認することも試験目的の1つである。これらは,来年打ち上げ予定の工学実験惑星探査機MUSES-C を打ち上げるM-V第5号機の飛翔信頼性の確認を目的としたものである。
 当地において得られた燃焼試験の速報結果によると,点火およびそれにつづくモータの燃焼は正常で,新たに装備された3次元C/C材スロート部位でのひずみ,温度データをはじめ,モータならびに試験設備系などの全103点の計測データも順調に取得され,光学情報も良好に記録された。主な計測結果は,

最大推力 約360 kN
最大内圧 約5.8 MPa
全燃焼時間 約100 秒
であった。

 点火時の天候は晴れ,気温摂氏15度,気圧1026 hPa,微風であった。本実験に協力いただいた関係各機関ならびに浜浅内地区をはじめとする地元の方々に深く感謝する。

M-34-3TVC真空燃焼試験概要


ISAS プレスリリースアーカイブスへ