平成14年度第2次大気球実験の1号機であるB80-8号機を9月4日(水)6時18分に三陸大気球観測所より放球しました。気球は毎分300mの速度で正常に上昇し、高度14kmに達した時点で気球頭部の排気弁を開いて上昇速度を減速させ高度16kmで水平浮遊状態にしました。その後、気球が釜石沖東方160kmの海上上空に達した8時58分にバラストを投下し再上昇させました。気球は10時36分に高度34.5kmで水平浮遊状態に入りました。その後、気球を平均速度100m/分で下降させ、久慈湾南東40mの上空に達した14時41分に指令電波を送信し、観測器を気球から切り離しました。観測器は、久慈湾東南東60km海上(東経142°29’北緯40°08’)にパラシュートで緩降下しました。観測器および気球は17時10分にヘリコプターと回収船によって無事回収されました。
本実験は、クライオジェニックサンプリング法を用いて希薄な成層圏大気を大量に採集することを目的としており、高度15kmから34.5kmまでのはば等間隔の11点で、それぞれ大気圧換算で約20リッターの試料大気を採集することに成功しました。これらの大気試料は関係する大学や研究機関に送られ、さまざまな微量成分の濃度や同位体の測定が行われる予定です。このようにして得られたデータは、地球温暖化などの大気環境問題の解決に寄与するとともに、成層圏こおける大気循環や光化学反応過程の解明に大いに役立つと期待されています。
放球時の地上気象状況は、天候:晴、風速:0.5m/秒、気温:19.5℃でした。