平成14年9月5日(木)14時20分に平成14年度第2次大気球実験の第2号機であるBT5-23号機を三陸大気球観測所より放球しました。
気球は、平均速度310m/分で正常に上昇し、放球後2時間5分に山田湾東方上空、高度39.0kmに達し破壊しました。観測器は山田湾北東60km海上(東経142°38’、北緯39°28’)に緩降下しました。
本実験は光学オゾンゾンデを用いて成層圏オゾンの高度分布の観測を目的として行われました。光学オゾンゾンデは紫外線がオゾンによって吸収されることを利用し、気球上昇中の紫外線量の変化から成層圏中のオゾン濃度高度分布を測定する観測器です。
本年度は、これまでの観測器よりデータ転送速度を向上させることでより高度分解能の高い観測を行い、更にGPS受信により位置、高度、風速等を高精度に測定する機能を付加した新型の観測器を開発しました。今回の観測では、新型観測器の性能確認も含め、従来の観測器との2機同時観測を行い、高度39kmまでのオゾン濃度高度分布の観測に成功した。また、高度30km程度までのオゾン濃度を高精度に測定できる電気化学式オゾンゾンデも同時に観測し、比較を行いました。
高度30km以上のオゾンを高精度に観測できる観測器は他にはなく、これまで9年間にわたる光学オゾンゾンデによる観測から上部成層圏におけるオゾン変動を明らかにし、また、新型観測器により風速等が高精度で測定できることにより、オゾン濃度高度分布に見られる波状構造と大気波動との関係をより詳しく調べることができるものと期待されています。
本日の天候は曇り、放球時の地上の気象状況は、気温22℃、風速0.5m/sでした。