独立行政法人航空宇宙技術研究所(NAL)と宇宙開発事業団(NASDA)は、仏国立宇宙研究センター(CNES)と高速飛行実証フェーズII計画の協力について定めた了解覚書(MOU、Memorandum of Understanding)を下記により締結しました。
1.締結日 | 平成13年5月30日(水) |
2.場所 | フランス ツールーズ |
3.調印者 | NAL 戸田 勧 理事長 NASDA 山之内秀一郎理事長 CNES アラン・ベンスーサン総裁 |
4.了解覚書内容 本件に関しては、昨年2月、「高速飛行実証に関する協力に係る暫定書簡取り決め」を締結したのを受け、その後、協力の詳細について調整を行い、了解覚書の締結に至ったものです。 了解覚書に従い、NAL/NASDAは機体システムの開発、運用を、CNESは実験場、気球システム、地上施設設備を準備し、3者共同で飛行実験を行います。 |
なお、飛行実験はスウェーデンのエスレンジ実験場において平成14年の夏から開始する予定。
航空宇宙技術研究所(NAL)と宇宙開発事業団(NASDA)は将来型宇宙輸送システム開発に関する研究を共同で実施しており、その一環として宇宙往還技術試験機HOPE-X(H-II Orbiting Plane Experimental)の1/4スケールの実験機を用いた2段階の高速飛行実証フェーズI、フェーズII計画を進めています。
高速飛行実証フェーズIは、ジェットエンジンを搭載した小型無人実験機を用いて着陸場システムの検証を行う実験です。
高速飛行実証フェーズIIはHOPE-X形態機の遷音速(マッハ数0.7〜1.2)空力特性データを取得し、それを参照データとすることにより、正確な特性推定が困難な遷音速風洞試験および計算流体力学(CFD)技術の向上を図ることを目的としています。実験ではHOPE-X1/4スケールの小型無人実験機を気球で高度30km位まで上昇、その後高層気球から分離、自由落下滑空によって遷音速領域まで加速した後、一定マッハ数を保持しつつ種々の空力特性データを取得します。データ収集後はエスレンジの回収区域内の目標地点まで滑空誘導し、パラシュートおよびエアバッグを用いて回収します。回収された実験機は整備の後、次の飛行に備えます(図1)。飛行は6回を予定しております。
気球を用いた工学実験に多くの実績を持つフランス国立宇宙研究センター(CNES)とNAL、NASDAとの国際協力によって実施します。CNESは気球システム及び実験機接地後の回収を担当します。
高速飛行実証フェーズII実験機の3面図を図2に示します。
飛行実証実験は、スウェーデン宇宙公社(SSC)が管理運営するエスレンジ実験場(図3)において平成14年夏と15年夏に実施する予定で計画を進めています。