プレスリリース

航空宇宙技術研究所 このプレスリリースは航空宇宙技術研究所(NAL)が発行しました

CFD技術開発センターがISO9001の認証を取得


平成14年12月24日
航空宇宙技術研究所

 独立行政法人航空宇宙技術研究所CFD技術開発センターでは、平成14年11月15日に品質管理体制に関する国際規格であるISO9001の認証を取得いたしました。
 CFD技術開発センターは、航空宇宙技術研究所の独立行政法人化を機に新しく設けられた、CFD1)技術に関する研究開発およびスーパーコンピュータを中核とする数値シミュレータ2)及びそれに関連する施設設備の運営に関する業務を行う部門です。今回の認証取得により、CFD技術開発センターは品質管理体制の構築を完了し、今後はこの品質管理体制の運用並びに継続的な改善を通して、所内外の顧客(ユーザ)に満足のいくサービスの提供を目指して行く所存です。現在は、共同研究を実施している航空機等製造メーカ、工学系の大学が主な外部ユーザですが、今後は、共同研究に関わらず、幅広いユーザにサービスを提供していく考えです。

 今回認証された品質管理体制は、CFD技術開発センターにおける数値シミュレータの運用サービス、計算受託サービスの提供に適用されます。
 ここで言う運用サービスとは、ユーザが自分で所有するプログラムを航空宇宙技術研究所の超高速数値シミュレータを使って計算できるサービスです。また、計算受託サービスとは、ユーザの要求に応じ、CFD技術開発センターが同センターで開発したプログラムを用いて計算を実行し、結果をユーザに提供するサービスです。
 CFD技術開発センターの品質管理体制では、ISO9001の規定に基づき、サービスの実施手順、数値シミュレータ及びネットワークの維持・管理、関連文書や記録の管理などについて定めるほか、作業従事者に対する教育訓練についても定めています。CFD技術開発センターは、品質管理体制の構築を通して技術ノウハウの文書化や標準化を実施するとともに、顧客満足度の向上のため、ユーザの立場にたった運用改善を行うといった各担当者の意識改革も行ってきました。今回の取得により、数値シミュレータ運用の透明性が増し、また、責任の所在も明らかになりました。

今回の認証取得における認証範囲、品質方針は次の通りです。

認証範囲
1)数値シミュレータの運用サービス
2)計算受託サービス
品質方針
1)顧客満足を得られるサービスの品質を継続的に確保する。
2)サービス提供の手順に加え、ユーザの要求に対応し、問題点を是正・改善する手順を標準化し、作業の効率を継続的に向上させる。

なお、CFD技術開発センターの品質管理に関する概要は、航空宇宙技術研究所のホームページ(http://www.nal.go.jp/)において公開する予定です。




用語の解説

1)CFD;Computational Fluid Dynamics (計算流体力学)
計算機を用いて航空機など物体の周りの流れをシミュレーションすること。この技術を有効に用いることにより、航空機などの開発試験を大幅に省略し、開発コストの削減、開発期間の短縮を図ることが可能。
2)数値シミュレータ
現在運用している数値シミュレータは、今年10月に本格運用を開始した数値シミュレータ?で、数値演算処理性能は、9.3TFLOPS(最大で1秒間に9.3兆回の演算まで可能)、主記憶容量は3.7テラバイト(1テラバイトは1000ギガバイト(1兆バイト)に相当)の超高速スーパーコンピュータを中心とし、磁気ディスク容量57テラバイト、磁気テープ容量620テラバイトから成る大規模な外部記憶装置も備えています。対話型ジョブなどの各種処理環境が整備され、ユーザ利用開発環境が充実しています。また、世界でも最大クラスの可視化システムと超高速ネットワークで結合されており、計算結果を3次元的に観察することが可能です。

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