プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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高速再突入技術実験(DASH)のH-IIA試験機2号機での実施について

平成13年3月28日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 主旨

 平成13年度冬期打上げ予定のH-IIA試験機2号機のミッションとして、宇宙開発事業団(NASDA)の民生部品・コンポーネント実証衛星(MDS-1)及びロケット性能確認用ペイロード(VEP3)の打上げと併せて、宇宙科学研究所(ISAS)のミッションである高速再突入技術実験(DASH)を実施することとしたい。

2. 経緯

  • 平成12年12月の宇宙開発委員会での計画見直しにより、H-IIA試験機1号機でのDASHの実施が見送られた。
  • DASHを試験機2号機で実施することの可能性について、ISAS及NASDAが技術的検討を行ってきた。

3. 検討結果

 以下を前提条件として、MDS-1、DASH及びVEP3搭載の可能性を検討した。

・フェアリング 上部フェアリング:DASH、VEP3
下部フェアリング:MDS-1
・打上げ時期 平成13年度冬期
・DASH及びMDS-1投入軌道 約500km× 約 35,800km (楕円軌道)
・分離シーケンス クリスマス局可視域でDASHを分離
VEP3及び下部フェアリングを分離
サンチャゴ局可視域でロケットを機軸周りに低速スピン(〜5rpm)させた状態でMDS-1を分離

(1) 搭載コンフィギュレーション
 図1に2号機のペイロード搭載イメージを示す。衛星包絡域やアクセス性などについての問題はない。
(2) 打上げ可能時間帯(ロンチウインドウ)に関する成立性
 ペイロードの発生電力並びに熱環境に関する要求からMDS-1及びDASHのロンチウインドウには当初以下に示す要求があった。
MDS-1 1.分離時の太陽方位角*:40度以内
2.ミッション期間中の日陰時間制約:100分以下
DASH 1.分離時の太陽方位角:90〜120度
2.投入軌道が日陰に入らないこと
*太陽方位角:衛星の機軸と太陽方向のなす角度

 MDS-1とDASH、双方の要求を満足するロンチウインドウについて、H-IIA試験機2号機の飛行解析を行った結果、上記の当初要求を全て満足するウインドウの設定ができないことが判明したが、その後詳細検討を行った結果、DASHの要求条件の許容範囲を拡大することが可能であることが明らかになった。(1.太陽角90〜132度、2.軌道日陰時間:20分以内に変更)。 これにより、平成13年度冬期に相乗りでの、打上げが可能であるとの結論に至った。

 上記以外の検討結果(追跡管制局の手当、打上げ能力等)についても技術的問題はないことから、DASHをMDS-1,VEP3の打上げと併せてH-IIA試験機2号機で実施することとしたい。