宇宙開発事業団
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
LDREX(大型アンテナ小型部分モデル)軌道上実験の結果を反映した大型展開アンテナの設計改良、および検証について報告する。
LDREXは、2000年12月20日にアリアン5で打ち上げられ、半頂角5°まで展開した後、停止し、ロケットから分離した後に再度展開を始めた。フライトデータによる解析を実施し、固縛解放時に予期せぬ振動現象がアンテナに生じ、メッシュが飛び出し、スタンドオフに絡まったと推定した(平成13年3月7日宇宙開発委員会へ報告)。この結果を反映し、大型展開アンテナの設計改良を行い、地上試験、および航空機実験による検証を行った。
(1) | 固縛解放時のアンテナ揺れの抑制策 固縛解放のシーケンス変更と解放速度の緩和(ダンパー制御)を行った。 |
(2) | メッシュの絡み防止策 膜要素が飛び出さないように、飛び出し防止帯、およびスタンドオフキャップの装着をした。 |
(3) | 展開力の増強策 姿勢擾乱が生じるなどの事態に備え、増強バネを装着した。 |
EM(実物大)の7モジュールと14モジュール(全体構造物)を用いて、固縛解放の展開状態、および部材歪みについて、航空機を用いた微小重力下でデータを取得し、解析と比較した。
実測と予測は良く一致し、設計改良は適切であることを確認した。
地上試験により、人為的な抵抗を付加して展開の限界を見定める。また、ブームを含めた状態で軌道上最悪値を越えた外力を与えても展開障害が生じない確認を行う。
併行してフライト用アンテナの製造を行う。
大型展開アンテナの設計とその検証結果 -軌道上実験(LDREX)の反映- (PDF547KB)